エスパス ルイ・ヴィトン大阪で、草間彌生の世界観に没入する。
Culture 2025.07.24
2025年大阪・関西万博の開催に合わせ、エスパス ルイ・ヴィトン大阪では日本を代表するアーティストのひとり、草間彌生の展覧会『INFINITY - SELECTED WORKS FROM THE COLLECTION』を開催中。
無限の鏡の間 - ファルスの原野(またはフロアーショー)1965/2013年
エスパス ルイ・ヴィトン大阪での展示風景(2025年)
詰めもの入り縫製布、木製パネル、鏡 250×455×455cm
Courtesy of the artist and Fondation Louis Vuitton, Paris
Photo credits : Jérémie Souteyrat/Louis Vuitton
本展は草間が国際的なアートシーンに登場した初期の作品から近年の作品に至るまで、長い年月に及ぶ作品群を紹介。その幅広い創作活動を示すだけでなく、1960年代初頭のニューヨーク時代から現在まで一貫して創作を導いてきた主題のつながりを照らし出す。変幻自在な表現と強迫的な反復や増殖を特徴とする、極めて多作なアーティストである草間による本展の作品からは、彼女の創作の軌跡が日本およびアメリカの美術史における主要な潮流といかに関わってきたかが見えてくる。
草間の創作活動はポップアートやミニマリズムと呼応し合い、またそれらにインスピレーションを与える形で展開されてきたが、彼女の本質的な強さは極めて私的な作品が映し出し続けてきた圧倒的な独自性にある。本展におけるもっとも新しい作品でもその独自性は健在している。
YAYOI KUSAMA - INFINITY - SELECTED WORKS FROM THE COLLECTION
エスパス ルイ・ヴィトン大阪での展示風景(2025年)
無題(足)1964年 紙にインク、グラファイト 55.8×71.1cm Louis Vuitton Collecition
ドッツ 1990年 キャンバスにアクリル 52.7×45.7cm
無限の網(DHPP)2010年 キャンバスにアクリル 194×194cm
Courtesy of the artist and Fondation Louis Vuitton, Paris Photo credits : Jérémie Souteyrat/Louis Vuitton
「自己治療(セルフセラピー)」と彼女が呼ぶ制作過程において、強迫的に反復されるモチーフは重要な表現手法となっており、本展で紹介する作品群にもこの特徴が色濃く反映されている。そしてこれらのモチーフに込められているのは、草間の根底にある哲学。展覧会のハイライトとなる《無限の鏡の間 - ファルスの原野(またはフロアーショー)》(1965年/2013年)は、彼女が手がけた数多くの「無限の鏡の間」の第1作であり、来場者を果てしなく続く水玉の世界へと誘い、方向感覚を失うほどの没入体験をもたらす。草間は「水玉」と「無限の網」による多様な技法を駆使しながら、鑑賞者に無限について考えるよう促し、彼女が「自己消滅」と呼ぶ過程において視覚的な没入へと誘う。
フォンダシオン ルイ・ヴィトンの所蔵コレクションを公開する「Hors-les-murs(壁を越えて)」プログラムの一環として行われる本展は、草間彌生のさまざまな時代の作品を鑑賞できる貴重な機会。長期間の開催となるので、ぜひ時間を見つけて会場へ足を運びたい。
毎日愛について祈っている 2023年 キャンバスにアクリル、マーカーペン 65.2×53.0cm © YAYOI KUSAMA. Courtesy of Ota Fine Arts. Louis Vuitton Collection 2023
毎日愛について祈っている 2023年 キャンバスにアクリル、マーカーペン 65.2×53.0cm © YAYOI KUSAMA. Courtesy of Ota Fine Arts. Louis Vuitton Collection 2023
会期:〜2026年1月12日(月・祝)
会場:エスパス ルイ・ヴィトン大阪
大阪府大阪市中央区心斎橋筋2-8-16 ルイ・ヴィトン メゾン 大阪御堂筋 5F
開)12:00〜20:00
入場無料
ルイ・ヴィトンクライアントサービス
0120-00-1854(フリーダイヤル)
https://jp.louisvuitton.com/jpn-jp/magazine/articles/espace-louis-vuitton-osaka
text: Natsuko Kadokura