【長野ひとり旅】3万冊の蔵書と美人の湯を誇るクラシックホテルへ。
Culture 2025.10.11
何万冊もの蔵書を誇るラウンジ付き旅館やホテル、書店と宿泊施設が一体化したユニークな新アドレスなど、心地いい空間で知的好奇心を満たす、とっておきステイ。
創業大正十五年 蓼科 親湯温泉
[長野県茅野市]
湯に浸かり、時を忘れて文学の世界に溺れる。
バースペースを併設し、コーヒーやウィスキーを片手に読書を楽しめるみすずラウンジ。
"信玄の隠湯"として地元で愛されてきた湯治場が脚光を浴びるようになったのは、明治末期、アララギ派の詩人・伊藤左千夫が蓼科親湯を歌に詠んだことがきっかけだった。文人、歌人たちが滞在し、ここを舞台に文学史に残る作品を生み出してきた。そんな歴史を感じさせるのが、メインロビーであるみすずラウンジ。現在の当主が何十年もかけて収集した約3万冊の蔵書を揃えるライブラリーラウンジで、古典から現代文学、はたまた美術書までが所狭しと並んでいる。宿泊は、蓼科親湯とゆかりのある文人をイメージしたクラシックな客室で。明治・大正期の文人たちに思いを馳せ、山中の夜が更けていく。
創始者が同じ茅野市出身という縁から、館内の書架にはみすず書房のコーナーが。
開湯400年超の歴史を誇る。自家源泉の湯はさらりとした弱酸性で「美人の湯」と謳われる。
歴史深い宿で時の流れに思いを馳せて。開業100年を迎える親湯の歴史をなぞらえる、ガブリエル・ガルシア=マルケス著『百年の孤独』
幸田文、高浜虚子、太宰治などの文人にフォーカスする蓼科倶楽部の客室は全室デザインが異なり、各人の作品を揃える。
小堀杏奴をイメージした453号室。
Tateshina Shinyu Onsen
長野県茅野市北山蓼科4035
0266-67-2020(9:00~18:00)
全52室 バスタブ付き32室 スタンダード1名¥22,000~、蓼科倶楽部(セミスイート)1名¥29,700~(ともに1室2名、2食付き)
https://www.tateshina-shinyu.com/
*「フィガロジャポン」2025年9月号より抜粋
●掲載している価格や営業時間、定休日、料理は変更される場合があります。特に輸入本は取材時から価格が変わる可能性があります。
●レストラン利用時や宿泊時に、別途サービス料や入湯税がかかる場合があります。
photography: Ryo Hirano text: Ryoko Kuraishi