1年の締めくくりに、アートと向き合う時間はいかが?
Culture 2025.12.18
01. アウトサイダーが示す、「無心の美」の力。
『Strike Gold Art for 'No Concept' -作為なき表現者たち』

2017年から続くアウトサイダー・アート展のシリーズ。主催者は全国の障害者施設を巡り、対話を通じて丁寧に作品を選定してきた。出展作品は適正な価格で販売され、彼らの人生を支える経済的還元となる。本展では能や陶芸など日本古来の芸術の本質とされた「無作為の美」に着目。現代美術と異なり、もともとコンセプトに囚われず無心の境地で制作してきた作家たちの創作に、自然への憧れや畏怖、そこから生まれるみずみずしさやダイナミズムが宿ることを示す。
会期:開催中~2026/1/25
会場:GYRE GALLERY
0570-056990
開)11:00~19:30最終入場
※1/2は13:00~19:30最終入場
休)12/31、2026/1/1
入場無料
https://gyre-omotesando.com/art/
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02. 稀代の建築家が遺した、「知」の島々を巡る。
『磯崎新:群島としての建築』

2022年に逝去した建築家・磯崎新の国内で没後初となる大規模回顧展。20世紀を代表する最も創造的で先駆的な建築家である磯崎は、60年以上にわたり思想、美術、文化論や批評分野においても卓越した地位を確立したことでも知られる。同館の設計者でもある彼が提唱した「群島(アーキペラゴ)」という空間概念を踏まえ、本展では多彩なメディアを通じてその軌跡を辿るとともに、建築という単一の領域にとどまらない磯崎の活動を「群島」のように構成する。
会期:開催中~2026/1/25
会場:水戸芸術館 現代美術ギャラリー
029-227-8111
開)10:00~17:30最終入場
休)月、11/25、12/27~2026/1/3、13
※11/24、2026/1/12は開館
料)一般¥900
https://www.arttowermito.or.jp/
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03. 現代日本で交差する、さまざまな時間と表現。
『六本木クロッシング2025展:時間は過ぎ去る わたしたちは永遠』

3年に一度、日本の現代美術を総覧する定点観測的な展覧会。国籍を問わず日本で活動する作家、日本にルーツがあり海外で活動する作家を紹介する。果実を発酵・蒸留させるブランデーをガラスに封入した作品をとおして生命と時間に向き合う和田礼治郎、手仕事や布に宿る家族の記憶から過去と現在を結び直す沖潤子、長年尾道の歴史や集落に根ざした活動を続けるマレーシアのシュシ・スライマンなど、多様な表現が本展テーマの「時間」の貴さと儚さを浮かび上がらせる。
会期:開催中~2026/3/29
会場:森美術館
050-5541-8600(ハローダイヤル)
開)10:00~21:30最終入場(月、水~日)、10:00~16:30最終入場(火)
※12/8は16:30、12/30は21:30最終入場
無休
料)一般¥2,000~
https://www.mori.art.museum/jp/index.html
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04. いま街を取り戻す、自由意思の表明。
『オスジェメオス+バリー・マッギー One More』

グラフィティアートを牽引するサンフランシスコ出身のバリー・マッギーとサンパウロ出身の双子の兄弟オスジェメオス。深い精神的な絆で結びついた2組の世界初のコラボレーション展。即興の掛け合いで描いた壁画、好きな盤をかけてカウチで寛げる"レコードショップ"、無限のグラフィックに呑み込まれるアニメーション。初期から彼らの活動を支えた日本の文化への想いと、困難な時代のいまこそ街のエネルギーを取り戻すための自由意思が隅々に行きわたる圧巻の展示だ。
会期:開催中~2026/2/8
会場:ワタリウム美術館+屋外
03-3402-3001
開)11:00~19:00
休)月、12/31~2026/1/3
※11/24、2026/1/12は開館
料)一般¥1,500
http://www.watarium.co.jp/
*「フィガロジャポン」2026年1月号より抜粋
text: Chie Sumiyoshi





