芸術の秋を全身で体感! 今月のアート4選。

Culture 2021.09.25

暑さも落ち着き、過ごしやすい気候に。各地の美術館で気になる展覧会が目白押しだ。箱根、東京、京都、軽井沢の美術館をピックアップ!

箱根の自然の中で得る、内省の時間。

『ロニ・ホーン:
水の中にあなたを見るとき、 あなたの中に水を感じる?』

art-01-210924.jpg

ニューヨーク出身のロニ・ホーンはアイスランドへの旅を通じ、自然と密接に結びついたコンセプチュアルな作品を制作してきた。国内の美術館で初の個展となる本展では、代表作のガラスの彫刻や100枚ものポートレートなど作家の約40年間の軌跡を辿る。テムズ川の水面やアイスランドの温泉地、島の地図、水鏡を思わせるガラスなど、多くの作品のテーマである「水」に着目し、ひとつの概念が環境や周囲との関わりによって姿を変えて現れ、水のようにしなやかに多様な解釈を受け入れるホーンの作品のあり方を探る。人里離れた辺境地でひとり、周囲に惑わされず本質を見つめ続ける作家の姿勢は見る者に強く生きるヒントと内省の時間を与えてくれるだろう。

『ロニ・ホーン:
水の中にあなたを見るとき、 あなたの中に水を感じる?』

会期:開催中~2022/3/30
ポーラ美術館(神奈川・箱根)
営)9:00~17:00
無休
料)一般¥1,800

●問い合わせ先:
tel:0460-84-2111 
www.polamuseum.or.jp

---fadeinpager---

先達への熱い想いを昇華させる森村式解釈。

『ジャム・セッション 石橋財団コレクション×森村泰昌 
M 式「海の幸」ー森村泰昌 ワタシガタリの神話』

art-03-210924.jpg

「ジャム・セッション」は、過去と次代の懸け橋となるべく年に一度企画される、石橋財団コレクションと現代美術家の共演によるプロジェクト。第2回に迎えるのは古今東西の絵画や写真に表された人物に変装し、独自の解釈を加えて再現する「自画像的作品」を制作し続ける森村泰昌。かねてより密かに熱い想いを寄せてきた青木繁『海の幸』にあらためて本格的に向き合い、明治期以降の日本の文化、政治、思想などの変遷史をM式「海の幸」に形象化し、インスピレーションを新たなシリーズへと昇華させる。青木の『自画像』のほか、神話に着想を得た『大穴牟知命(おおなむちのみこと)』、『わだつみのいろこの宮』など、代表作が見られるのも魅力だ。

『ジャム・セッション 石橋財団コレクション×森村泰昌 
M 式「海の幸」ー森村泰昌 ワタシガタリの神話』

会期:10/2~2022/1/10
アーティゾン美術館(東京・京橋)
営)10:00~18:00(金曜は〜20:00)
休)月、12/28 ~2022/1/3
※2022/1/10は開館
料)一般¥1,200(日時指定制ウェブ予約チケット)

●問い合わせ先:
tel:050-5541-8600
www.artizon.museum

---fadeinpager---

写真を通して、響き合う歴史を見据える試み。

『KYOTOGRAPHIE 京都国際写真祭 2021』

art-02-210924.jpg

毎年、京都市内の歴史的建造物や町屋建築などユニークな会場で開催される国際写真展。9回目のテーマは「ECHO」。大災害や環境破壊といった地球の叫びが現在の状況に呼応する歴史を見据え、いまを切り取り過去を記録する写真媒体を、「ECHO」を生み出す装置と捉える。14の多彩なメインプログラムには、ンガディ・スマート、アーウィン・オラフ、榮榮&映里、デイヴィッド・シュリグリーなど。また片桐功敦、ダミアン・ジャレ& JR、リシャール・コラス、四代田辺竹雲斎、小原一真が参加する東日本大震災へのオマージュ展、トゥエルブブックスとの共同プロデュースによるブックラウンジを開催する。SNS配信イベントも開催の予定。

『KYOTOGRAPHIE 京都国際写真祭 2021』
会期:開催中~10/17
京都市内各所(京都・京都)
営)営業時間は各会場による
無休(会場により休館日あり)
料)一般¥4,000(パスポート)

●問い合わせ先:
tel:075-708-7108
www.kyotographie.jp

---fadeinpager---

軽井沢に暮らしたフランス人浮世絵師の画業。

『特別企画展 ポール・ジャクレー没後60 年 軽井沢を愛したフランス人浮世絵師 ポール・ジャクレー全木版画展』

art-04-210924.jpg

フランス人浮世絵師と呼ばれる画家、ポール・ジャクレーの没後60年特別企画展。1899年、幼少期に家族とともに来日し、日本文化と江戸情緒を愛したジャクレーは、とりわけ浮世絵に魅せられ、彫師や摺師と協働して多色木版画を制作。日本各地の風俗から朝鮮半島の庶民の暮らしや中国の宮廷人、ミクロネシアの島々に暮らす人々まで、精緻な技術と鮮やかな色彩で描き出されたその作品世界には、艶やかな色香と人情味あふれるユーモアが漂う。戦時中に軽井沢に居を構え、64歳で没するまで、同地で創作を続けながら多くの文化人や地元の人々と交流を深めた。本展では、遺族と地元の所蔵者の作品を2期に分けて展示し、軽井沢との関係を紹介する。

『特別企画展 ポール・ジャクレー没後60 年 軽井沢を愛したフランス人浮世絵師 ポール・ジャクレー全木版画展』
会期:開催中~ 10/31
追分宿郷土館(長野・軽井沢)
営)9:00~17:00
無休
料)一般¥400

●問い合わせ先:
tel:0267-45-1466
www.town.karuizawa.lg.jp

新型コロナウイルス感染症の影響により、開催時期および開館時間が変更となる場合があります。
最新情報は各展覧会のHPをご確認ください。

*「フィガロジャポン」2021年11月号より抜粋

text: Chie Sumiyoshi

Share:
  • Twitter
  • Facebook
  • Pinterest

Business with Attitude
Figaromarche
airB
言葉の宝石箱
パリシティガイド
フィガロワインクラブ
BRAND SPECIAL
Ranking
Find More Stories