整形を繰り返した「キャットウーマン」、79歳で逝去。
Celebrity 2025.01.06
スイスのジェットセッター、ジョセリン・ウィルデンシュタインが12月31日に亡くなった。美容整形手術で手に入れた印象的な猫のような彼女の顔の裏には、あらゆる幻想をかき立てるような物語が隠されていた。
「キャットウーマン」と呼ばれたジョセリン・ウィルデンシュタイン。(ニューヨーク、1998年5月28日)photography: Lawrence Schwartzwald/Getty Images
ジョセリン・ウィルデンシュタインは、その外見の劇的変化以前、どのような姿をしていたのだろうか? 彼女自身が昨年8月、自身のInstagramアカウントでその一端を公開した。この珍しいヴィンテージ写真は1980年代初頭に撮影されたものだが、皮肉にもほぼ誰にもわからない姿だった。写真の中で彼女は娘のダイアンと一緒に写っており、美容整形で手に入れた有名な猫のような顔とはかけ離れた顔立ちを見せている。実際、彼女が「キャットウーマン」という異名を持つ以前、ジョセリンはローザンヌ出身のスイス人として、上流階級の家庭に生まれ育ち、優雅で繊細な顔立ちをした女性だった。その後、31歳でフランスの裕福な美術商アレック・ウィルデンシュタインと出会い、彼と結婚し、ふたりの子どもの母となった。そして、彼が彼女の外見を劇的に変えるきっかけとなった人物でもある。
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エキゾチックな猫への情熱
1977年、ケニアのサファリでジョセリンはミリオネアと出会い、恋に落ちた。彼らはともにアフリカに情熱を持っており、ジョセリンにはすでに10年間アフリカ大陸を探索した経験があった。ふたりはすぐに結婚し、ニューヨークのペントハウスに住み始め、家族を作った。しかし、最も彼女が活躍したのはケニアのオル・ジョギ自然保護区にある豪華な牧場で、そこでは200棟の建物、ふたつのプール、55の人工湖、366人の家政婦、そしてガラスで覆われた防弾の洞窟に住む2匹の虎を管理していた。
彼らが結婚して1年後、ジョセリンは夫の関心を失うことを恐れ、再び彼の興味を引くために美容整形手術を受けたと言われている。彼女がもっと自分を魅力的に見せたいと考えたのは、夫がエキゾチックな猫を好み、「もっと猫っぽい見た目」を求めたことに起因している。これにより、彼女は「キャットウーマン」という愛称を付けられることになったと、2008年に英国の新聞『デイリー・テレグラフ』は報じた。
当時、ニューヨークとマイアミを行き来していたソーシャライツのジョセリンは、まず目元に注力し、「オオヤマネコの目」を手に入れようとした。彼女はそれを「完璧」と考えていたのだ。この手術が、200万ユーロ(約3億2千万円)以上の費用をかけた長い手術のリストの第一歩となったが、残念ながら彼女が期待していた効果とは逆の結果を招いてしまった。『デイリー・テレグラフ』によると、アレック・ウィルデンシュタインが妻の変貌を最初に目にした時、「恐怖で叫んだ」と言われており、彼女を認識できなかったという。「彼女は狂っていた。彼女は顔を家具のように直せると思っていた。皮膚はそういうふうにはいかない。でも彼女は何も聞こうとしなかった」と、アレック・ウィルデンシュタインは1998年にアメリカの雑誌「ヴァニティ・フェア」に語った。
ジョセリン・ウィルデンシュタイン。(ニューヨーク、2004年9月11日)photography: Lawrence Lucier/FilmMagic/Getty Images
満足できなかった彼女は、その後さらに一連の美容手術を受け、再び外見を「改善」しようと試みた。その中には、唇、頬、あごへのコラーゲン注射、少なくとも7回のリフト手術、そして目の根本的な再建手術が含まれていると、『デイリー・テレグラフ』の記事は記している。最終的には、彼女の皮膚があまりにも引き締められていたため、まばたきさえほとんどできなくなったという。
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「鏡で自分を見るとき、それは自分自身のために見るものですよね?」
「夫が歳とった人と一緒にいるのを嫌がるから、整形をした」と過去に主張していたジョセリン・ウィルデンシュタインだが、最終的に態度を変えた。「彼は決して私を追い詰めなかった......。むしろ、彼はいつも私がとても若く見えると言ってくれた」と、彼女は「ヴァニティ・フェア」に語った。また、オオヤマネコをペットとして飼っていた彼女は、ネコのような外見は実は遺伝子の中に自然に備わっているものだと主張した。「私の祖母の写真をお見せしたら、猫のような目と高い頬骨が見えます」と彼女は言った。
最近、フランスのテレビ番組「Chez Jordan de luxe」の収録で、ジョセリン・ウィルデンシュタインは、自身の変貌を驚くほど落ち着いた態度で受け入れ、その過程を堂々と語っていた。「鏡で自分を見るとき、それは自分自身のために見るものですよね?」と述べ、行った手術の回数についても軽く受け流した。司会者が彼女の元パートナーが猫のような外見になりたいという意図に与えた影響について質問した際、彼女はその疑問を手で払いのけるように否定した。「いいえ。私はもともと猫のような目をしていたと思います。生まれたときからそうでした」と語り、この外見が「魅力的に見える」と考えていることを示唆した。
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25億ドルの離婚
1998年、25億ドル(約3940億円)という超高額な離婚は大々的に報じられ、ジョセリン・ウィルデンシュタインに対する関心と注目がさらに高まった。2023年6月、『サンデー・タイムズ』とのインタビューで、彼女は元夫が「妻が多くの整形手術を受けたため、もう彼女を認識できない」と述べ、結婚生活の失敗を彼女に責任転嫁しようとしたと主張した。
ジョセリン・ウィルデンシュタインはこのところ、再び注目を浴び、20歳年下の恋人ロイド・クラインとともに豪華なライフスタイルをInstagramで披露し、100万人以上のフォロワーを魅了していた。また、パリのファッションウィークでは、ジョセリーヌと親しいドラァグクイーンのアレクシス・ストーンが、2023年秋冬のバレンシアガオートクチュールのショーで彼女の特徴を模したパフォーマンスを行い、ジョセリンをポップカルチャーのアイコンとして位置付ける出来事となった。
彼女が79歳でパリのホテルで亡くなった12月31日(火)、その死は再び彼女の人生に注目を集め、行き過ぎた美容整形手術や医療や美容業界の専門家が守るべき職業上の倫理観について新たな疑問を呼び起こした。彼女はその生涯を通じて謎と秘密に包まれたまま、静かにこの世を去った。
From madameFIGARO.fr
text: Victoria Hidoussi (madame.lefigaro.fr) translation: Hanae Yamaguchi