アメリカ、TikTok禁止か継続か......?「猶予期間」を宣言したトランプ大統領に対する、インフルエンサーたちの反応は?

Celebrity 2025.02.12

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1月18日から19日にかけてアメリカで禁止された後、TikTokは最終的に75日間の猶予期間を与えられ、中国との合意を模索することになった。この猶予期間に対してインフルエンサーたちはどのような反応を示しているのだろうか? インフルエンスの専門家が解説してくれた。

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TikTokがアメリカで禁止され、多くのインフルエンサーが中国のアプリ「小紅書(RedNote)」に移行した。photography: Getty Images

涙を流す人もいる一方、新たな領域に移行した人もいる。1月19日、TikTokがアメリカで停止されて数時間後、エミリー・ラタコウスキーはメキシコから中国のSNSであるTikTokに自分の動画を投稿した。「TikTokを取り戻すためにメキシコに逃げた」とビキニ姿で語っていた。同じように、100万人のフォロワーを持つインフルエンサー、ミランダ・ウィルソンも、飛行機から降りるとその力強い復帰をコミュニティに向けて撮影し、喜びを爆発させていた。

一方、アメリカの地から逃げるチャンスがない人にとっては、動揺はすぐにパニックに変わった。約1億7000万人のTikTokユーザー、うち700万人がこのアプリを生計の手段としているという切迫した声に応え、ドナルド・トランプはTikTokを禁止から15時間後に再開させた。「75日間の猶予期間を与えた」と彼は語り、米中間での合意を模索する時間を確保した。しかし、インフルエンサーたちが一息つく一方で、不安は依然として残り、疑問も尽きない。

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中国の情報機関エージェント

新たな停止の脅威にどう対処するか? 将来をどう見据え、経済的に守るべきか? そうした疑問の渦の中で、多くの人々が別の中国のアプリ「小紅書(RedNote)」に飛びついた。しかし、「この最初の代替案も長期的には限界がある」と警告するのは、パンテオン・ソルボンヌ大学の人工知能観察所の研究者であり、著書『l'ouvrage Géopolitique de l'ingérence russe: La stratégie du chaos(原題)』の著者であるクリスティーヌ・デュゴワンだ。「インフルエンサーたちは小紅書に移行しているが、小紅書は中国企業であるため、問題を移すだけに過ぎず、持続可能ではない」と彼女は述べている。

この問題を理解するためには、アメリカがTikTokを禁止するか買収するかという問題の背景を知る必要がある。この問題は、主に2017年6月27日に施行された中国の国家情報法に基づき、アメリカ国内でのTikTokの運営方法を見直そうとする動きに関わっている。この法律は、オンラインサービスを含むすべての企業に対して、データを保管する義務を課している。「すべての組織と市民は、国家の情報機関と協力し、支援する義務がある」と第7条に書かれている。「この状況下では、TikTokのアカウントを持つアメリカ人は、法律に基づき、中国の情報機関に協力する義務を負う可能性があり、これは巨大な外交問題を引き起こすことになります」とクリスティーヌ・デュゴワンは述べている。

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サイバーセキュリティの脆弱性

では、中国と米国が妥協に達することができるかどうかは、どうすればわかるのだろうか? 疑念が残る中、状況は慌ただしく動き出している。最も収益性が高いのはTikTokだとされているものの、ほとんどのインフルエンサーは複数のプラットフォームを利用している。「紅小書の他にも、YouTubeやMeta(Facebook)への移行も見られます。興味深いのは、YouTubeやMetaもまた、TikTokで行われていたスタイルに近づける形でフォーマットを変えざるを得ず、そうすることで新しいユーザー層をつなぎとめようとしている点です」。

しかし、クリスティーヌ・デュゴワンは別の仮説を唱えている。それは、最悪のシナリオかもしれない。インフルエンサーたちが、TikTokに戻るために回避方法を使う可能性である。「これが最も起こりそうなことです。もしTikTokが禁止されたら、アメリカ人は本当に何もせずにいると思いますか? 残念ながら、みんな法律を回避しようとして、それが大きな問題を引き起こす可能性があります」と彼女は言う。そして、彼女は4つの回避方法を挙げた。「VPN」の使用、ドメイン名を別の場所に転送する「DNSの解除」、外部からアプリをインストールする「サイドローディング」、そしてAppleやAndroidの制限を解除する「ジエイルブレイク」だ。「問題なのは、これらの方法を使うことで、誰でもアクセスできてしまい、セキュリティに穴が開くことです。つまり、サイバー犯罪者に侵入されるリスクを高めてしまいます。1億7000万人のユーザーのうち、3分の1や5分の1がハッキングされるとすれば、それは非常に危険です」。

1月20日以降、アメリカのインフルエンサーたちは再びTikTokのアカウントを取り戻し、フォロワーとのつながりを回復した。この一時的な禁止解除により、多くのクリエイターたちは安堵の表情を見せている。しかし、その一方でTikTok禁止中に起きたある現象が注目されている。TikTokが一時的に使用できなくなった期間中、一部のインフルエンサーたちは「隠していた秘密」や「嘘」を自ら明かすような告白を始めたのだ。「皆さんに伝えなければならない秘密があります。私、実は"コーヒートーク"で準備したコーヒーを一度も飲んだことがないのです。そして、公開したトレーニングセッションも実際には半分しかやっていませんでした」。TikTokで270万人のフォロワーを持つ人気クリエイター、レクシー・ヒダルゴが、TikTokが一時的に禁止された期間中にこのような告白を行った。この衝撃的な発言は、彼女の「完璧」なライフスタイルを信じていたファンに大きな波紋を呼んだ。この動画が公開されるやいなや、SNS上で議論が沸き起こった。あるネットユーザーは次のように辛辣なコメントを投稿した。「TikTokがなくなっても、彼らは他のプラットフォームに移るでしょう。でも、もうみんな彼らが嘘つきだってわかっている」。その後、この動画は削除されたが、一度明るみに出た事実を完全に消すことはできない。このような暴露は、インフルエンサーにとって命取りになることもある。「墓穴を掘る」という言葉がぴったり当てはまる状況を生み出した一例と言えるだろう。

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From madameFIGARO.fr

text: Léa Mabilon (madame.lefigaro.fr) translation: Hanae Yamaguchi

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