「どうしたらもっとうまくやれたかを常に考えつづけているだけ」シャルロット・ゲンズブール、カンヌで語る。

Celebrity 2025.05.20

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女優兼映画監督のシャルロット・ゲンズブールは、ウェス・アンダーソン監督の新作『The Phoenician Scheme』の出演者として第78回カンヌ国際映画祭にやってきた。そして「ウーマン・イン・モーション」のトークに参加した折、挑戦し続ける姿勢について語った。

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ケリングの「ウーマン・イン・モーション」トークでのシャルロット・ゲンズブール。(カンヌ、2025年5月18日)photography: Vittorio Zunino Celotto / Getty Images

シャルロット・ゲンズブールにとってカンヌ国際映画祭最高の思い出は?それはもちろん、2009年にラース・フォン・トリアー監督の『アンチクライスト』で主演女優賞を受賞したことだ。ケリングによる「ウーマン・イン・モーション」プログラムは、今日のカルチャー形成に貢献した女性に光を当てることを目的としている。トークのゲストとして招かれたシャルロット・ゲンズブールはその時のことを振り返った。「上映が終わってパリに戻っていた私に(映画祭ディレクターの)ティエリー・フレモーから電話がかかってきました。そして理由も告げずにカンヌに戻ってきてほしいと言われたのです。ラースがカンヌにいないことを知って、うすうす悟り始めました」。愛着のある作品での栄えある受賞だった。しかも彼女がカメラの後ろに回るきっかけを与えてくれたのもラース監督だったと言う。2017年、アルバム『レスト』に収録された曲『デッドリー・ヴァレンタイン』のミュージックビデオを制作するにあたり、「ラース監督にお願いしたかったのですが、時間がないと断られました。でもどうすればいいか教えてあげるから自分で撮ってごらんと言われたのです」。こうしてシャルロット・ゲンズブールは自分の娘2人、アリスとジョーをカメラの前に立たせて初のミュージックビデオを完成させた。

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挑戦し続ける

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photography: Getty Images

彼女の両親がジェーン・バーキンとセルジュ・ゲンズブールであることに思いをはせれば、家族という言葉が頭に浮かぶ。シャルロット・ゲンズブールは2022年のカンヌ国際映画祭プレミア部門で初監督作品を発表したが、それは2023年に亡くなった母ジェーンを撮ったドキュメンタリー『ジェーンとシャルロット』だった。「母はとても病んでいたので、撮影中に亡くなってしまうのではないかと常にハラハラしていました。カンヌでも心配でしたが、母はヘリコプターで来てくれました」とその時の思い出は彼女の中でまだ生々しい。

内気でおとなしかった少女は映画という空間で別の人生、違う人物を体験するようになった。父セルジュ・ゲンスブールとのデュエット曲『レモン・インセスト』で歌手デビューしたのが13歳の時。そんな彼女に母ジェーン・バーキンは女優活動を勧めた。「母は、私が自分だけの世界を持てるようになると考えたのでしょう」。女優デビューしてしばらくは、プロモーション活動が苦手だった。1985年の『なまいきシャルロット』、1989年の『小さな泥棒』に出演した頃は、「なぜたくさん写真に撮られたり、あんなに質問に答えたりしなければならないのかわかりませんでした」。だが今思うと、仕事で挑戦し続けたことが自信につながった。アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ監督の『21グラム』(2003年)、そしてラース・フォン・トリアー監督による3部作、『アンチクライスト』、『メランコリア』(2011年)、『ニンフォマニアック』(2013年)など、難しい役柄をこなそうと、果敢に挑戦し続けた。「挑発したがる監督が好きです。父のことをちょっと思い出しますから」と言う。限界まで頑張れるのも監督たちのおかげだ。「懸命に取り組み、何かを得ようともがいてこそ、手にした結果に自分が本当に値すると感じるのです」

自分を超える

直近の挑戦は、プライムビデオで配信中のコメディドラマ『エトワール』への出演だ。役柄は、ニューヨークのバレエ団とのダンサー交換計画を進めるパリのバレエ団の芸術監督。プロデューサーのエイミー・シャーマン=パラディーノはこれまでにも『ギルモア ガールズ』や『マーベラス ミセス メイゼル』の人気ドラマ作品を創り出してきた。英語とフランス語を混ぜながらポンポンと小気味良いテンポの台詞の応酬が続く。「2ヶ国語で演じるのは初めてです。しかもコメディという、とても難しいジャンルです。コメディはテンポが全て。そしてエイミーの刻むリズムときたら、とても速いんです」。ドラマの撮影が終わると、ロリアンヌ・エスカフルとイヴォ・ミュラーの映画『Gisèle』でのジゼル・アリミ役が待っていた。中絶の合法化運動のリーダーの一人で、フランスの法律が改正されるきっかけを作った人物だ。シャルロット・ゲンズブールは自分に演じられるか不安だったと言う。「自分に自信がないんです。そもそも自分が出演している映画は絶対に見ません。自分を超えるために演じるのは好きですが、結果を見る必要はありません。謙遜しているなんて思わないでください。私は謙虚ではありません。どうしたらもっとうまくやれたかを常に考えつづけているだけなんです」。5月18日にはカンヌの大階段を上がる。ウェス・アンダーソン監督の新作『The Phoenician Scheme』で、ベニチオ・デル・トロ演じる主人公の最初の妻役として。カメラの後ろにもそのうち戻ってくるかもしれない。シャルロットの挑戦は続く。

From madameFIGARO.fr

text: Pascaline Potdevin (madame.lefigaro.fr)

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