「白を着ることは特権」超富裕層は夏にどんな服装をするのか?
Celebrity 2025.08.16
女性は玉砂利のビーチでもハイヒールを履き続け、男性はあえて控えめに見せる装いを選ぶ。メディア社会学者ジャミル・ダクリア氏が、超富裕層のバカンススタイルを読み解く。
クラブ55を後にするジェフ・ベゾスとローレン・サンチェス・ベゾス。(2025年7月22日、サントロペ)photography: ABACA / ABACA
ラマチュエルのビーチクラブ周辺や、イビサのナイトクラブ、サントロペ港に係留されたヨットの上、さらには地中海沿いのリゾート近くに並ぶ高級ブランドの期間限定ショップ――そんな場所で目にするのが、夏になると自家用ジェットでフランス南部や世界各地に飛び、数週間の休暇と華やかな贅沢を楽しむ超富裕層だ。その一例が、7月末にサントロペの超高級レストラン「チェリー」の入口で撮影されたジェフ・ベゾスとローレン・サンチェスである。彼はネイビーのベルベット製ポロシャツに黒いチノパン、淡いエメラルドグリーンのサテンローファーという控えめな装い。対する彼女は、引き締まったボディを引き立てるロベルト・カヴァリのレオパード柄セミシースルー・マーメイドドレスで、圧倒的な存在感を放っていた。
サントロペでバカンス中のローレン・サンチェスとジェフ・ベゾス。(2025年7月23日)photography: Aissaoui Nacer/Splash News/ABACA
8月3日もまた似たようなシーンが見られた。イビサの岩場の海岸で、風と玉砂利に負けず、アマゾンの創業者の妻はこのとき、クリーム色の夏用ミニドレスにハイヒールのパンプスを合わせていた。「これは、自分の富をさりげなく誇示し、遠慮なく華やかさを楽しむ方法です」と、メディア社会学者のジャミル・ダクリア氏は分析する。さらに彼はこう続ける。「フランスでは、身体や服装のエレガンスに対する感覚が、アメリカとは異なります。彼らは決して優雅さが欠けているという意味ではなく、バカンスという状況でもアピールするスタイルでいることが、彼らにとってはごく当たり前なのです。」
---fadeinpager---
性別による違い
注目すべきは、これらの超富裕層の女性の多くが、イメージに関わる職業に従事している点だ。ヴィットリア・チェレッティのようなモデルも、レオナルド・ディカプリオのパートナーも、あるいはTikTokで大成功しているランジェリーブランドを率いる実業家のキム・カーダシアンも、彼女たちは皆、ソーシャルメディアと密接に関わっている。社交パーティに招かれることも多いため、何年にもわたり、たとえバカンス中でも常に身だしなみを整えることを求められるルールを身につけてきた。そして、裕福な人だけがアクセスできるこうした非常にプライベートな場所は、人目を引き、話題になり、さらには人脈を広げるのに絶好の場でもある。
一方、男性の場合は、ジャミル・ダクリア氏によると、よりラフで控えめな装いが目立つという。女性とは異なり、これらの超富裕層の男性は、身体や服装に関するメディアのプレッシャーをあまり受けない。その理由のひとつとしては、女性に比べてソーシャルメディア上でそうした理由で注目されることが少ないためでもある。そのため、バカンス中にはスーツのパンツをビーチパンツに履き替え、シャツよりも快適なポロシャツやゆったりしたTシャツを着る回数が増え、シリコンバレーで定番のアクセサリーであるキャップが、必要に応じて「匿名性」というプラスの効果をもたらしてくれる。
レオナルド・ディカプリオの場合も同様だ。数週間前にはコートダジュールで上半身裸に水着姿で目撃され、さらに数日後にはサントロペのゴルフクラブでのガラパーティに黒いTシャツにゴールドチェーンにキャップ姿で現れた。きちんと仕立てられたタキシードも、丁寧にアイロンをかけたシャツもなく、さらに言えば、常に完璧な装いのパートナー、ヴィットリア・チェレッティとのコーデも意識していない。まるで、サントロペのプライベートな空間にいるだけで、十分に成立しているかのようだった。
---fadeinpager---
露骨なレオパード柄
超富裕層の男性が控えめな装いを好む一方、女性たちは毎年、決して控えめとは言えないモチーフ、レオパード柄でそろえるのが定番だ。例えば、6月26日にはクロエ・カーダシアンが、アマゾン創業者とローレン・サンチェスの結婚式前日に、ぴったりとしたレオパード柄のコンビネゾンでヴェネツィアに登場し、話題をさらった。翌日には母親のクリス・ジェンナーが同じ柄のロングドレスで目撃されている。またパリス・ヒルトンは、サルデーニャで子どもたちとボートに出かけた際に、レオパード柄のセットアップを選んだ。こうした選択は偶然ではないと、ジャミル・ダクリア氏は指摘する。「1950年代ですでに、レオパード柄は非常に派手と見なされていました。特に売春婦やピンナップガールと結びつけられていたためです。今日では、ファッションによって格上げされ、1990年代から2000年代のリバイバルを象徴するモチーフとなっています。超富裕層と親しいドナテラ・ヴェルサーチェも、自身のコレクションでこの柄を多用しています。」
ラグジュアリーの象徴であるレオパード柄は、長年にわたり多くのフランス女優たちに取り入れられてきた。カトリーヌ・ドヌーヴやブリジット・バルドーのように、この柄を自らのトレードマークにした女優も少なくない。高級感あふれるフレンチシックの象徴として、いまなおアメリカでも人々を魅了している。しかし、今日の超富裕層がこの柄を着こなす方法とは、まったく異なる先鋭的な意味合いを持っている。「ポイントは、まずお金に対してためらいなく振る舞うこと」と、社会学者は解説する。「成功をアピールするだけでなく、レオパード柄の服を選ぶことで、透け感や体にフィットするデザインを通じて、自分の体がどれだけ健康で引き締まっているかを証明することにもなるのです。」
「白を着ることは特権」
時を経て富の象徴となったもうひとつの服装アイテムがあり、今回は男性も女性もこぞって取り入れている。それが白い服だ。7月17日、スペインのボート上でトム・クルーズのパートナー、アナ・デ・アルマスが着ていたドレスは白だった。7月13日のFIFAクラブワールドカップでのメラニア・トランプ夫人の装いも白だった。超富裕層の間で一種の伝統となっており、その起源は1960年代、音楽プロデューサーのエディ・バークレイがコートダジュールで主催した社交パーティ「白夜(ニュイ・ブランシュ)」にさかのぼる。フランス・ギャルやジョニー・アリデイ、ミシェル・ベルジェ、エルトン・ジョンなど、名だたるスターたちが集ったイベントだ。また、白は「ホワイトパーティ(参加者全員が白い服装で参加するパーティ)」のドレスコードでもあり、毎年夏、億万長者マイケル・ルービンがハンプトンズで開催する大規模なスターの集いでも用いられていた。
あえて言うなら、白は誰もが簡単に着こなせる色ではない。どこに座るかに気をつけ、洗濯前に服を分け、汚さないように注意する必要がある。「白を着られること自体が特権です」とジャミル・ダクリア氏は説明する。「真っ白な状態を保てるのは、汚れのつかない生活を送る超富裕層ならでは。ある意味、白を着ることで群衆の上に立っているかのような存在感を示すことができるのです。」そのため、世界で最も高額報酬を得ているフランス人サッカー選手カリム・ベンゼマは、7月中旬、自家用ジェットの完璧に清掃された機内で全身白に身を包み、Instagramに登場した。「1960年代や70年代と比べ、富裕層はさらに裕福になっています。そのため、彼らは富の象徴を次々と身につけ、あまり努力せずとも自然にそれを見せることができます」とジャミル・ダクリア氏は結論づける。スタイル以上に、超富裕層らしさは振る舞いや態度に表れ、それは世代を超えて受け継がれていく。つまり、6月から8月にかけて、スパンコールのドレスや白いリネンのセットアップがコートダジュールから姿を消すことは、しばらくないだろう。
From madameFIGARO.fr
text: Augustin Bougro (madame.lefigaro.fr) translation: Hanae Yamaguchi