仏・元祖リアリティスター「ロアナ」の悲劇的な48年。名声、虐待、依存症、精神疾患......など衝撃の真実。

Celebrity 2026.04.15

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ロアナ・ペトルチアーニは、2026年3月25日、ニースの自宅で亡くなった。享年48歳。フランスのリアリティ番組のスターは生涯に渡り、暴力的な男性たちとの複雑な関係に悩まされ続けた。

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2001年、レ・バンでのクリスマス特別パーティーに出席したジャン=エドゥアールとロアナ。photography : Garfield/ABACA

リアリティ番組が生んだ光と影

時代の寵児だったこともあった。2001年4月26日、幼さの残る顔におずおずとした笑みを浮かべた金髪のロアナ・ペトルッチアーニは、パリ近郊サン=ドニにある一軒家「ロフト」に、他の10人の若い独身男女とともに入居した。外界から隔絶されたこの家で、無名の若者たちはこれから昼夜を問わず撮影されることとなる。彼らはフランス初のリアリティ番組『ロフト・ストーリー』の参加者だった。プロデューサーのアレクシア・ラロッシュ=ジュベールが企画したこの番組はテレビ局M6で放送され、カルト的な人気を博した。それとともにロアナの運命は一変した。わずか数週間で無名の女性が同世代のアイコンに祭り上げられたのだ。もともと脆さを抱えていたロアナが名声に溺れるのも時間の問題だった。

依存症と長年闘い、精神的な問題を抱え、幾度もの入院を経て、リアリティ番組の元スターは2026年3月25日、ニースの自宅で死亡しているのが発見された。死因を特定するための捜査が開始されている。突然舞い込んだ名声、虐待、そして悪い男性たちに翻弄された、48年の痛ましい人生の悲劇的な幕切れだった。

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2001年6月、リアリティ番組「ロフト・ストーリー」で優勝した夜のロアナ。photography : Khayat Nicolas/ABACA

父親の暴力

1980年代、南フランスのカンヌ、そしてグラースで過ごした少女時代の頃から、ロアナは男性の暴力に直面していた。元ガソリンスタンド店員の父、ルネは失業中でアルコール依存症があり、ロアナの母ヴィオレット・ペトルチアーニに暴力を振るっていた。ある夕方、ロアナを学校に迎えに来た母は鼻が曲がり、あごを骨折し、頭部外傷を負った状態だった。「血まみれでした。本当にひどい状態でした」と、リアリティスターとなった後の2017年にロアナは「フランス・ディマンシュ」誌に語ったとメディア「VSD」が報じている。

ヴィオレットが家を去ってから、ロアナの父は「憎しみと暴力のすべて」を娘に向けるようになった。「父は私を平手打ちしながら、『私はそのうち母親のような売女になります』と繰り返し言わせました」。すぐに手が出る父親は、食器洗いをさせるにも娘の頭を台所のタイルにぶつけたりした。

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セーヌ=サン=ドニにて、中央に白い服を着たロアナがシーズン1・2の他の出演者たちと。photography : Gorassini Giancarlo/ABACA

もう殺される

16歳のとき、ロアナは我慢の限界に達した。父からの暴力に耐えきれず、初めて反撃し、父親を叩いたのだ。「激怒した父はバルコニーにタバコを吸いに行きました。そのときの父の目つきで、戻ってきたら私はもうおしまい、殺されると思いました」。父が数秒間、目を逸らした隙に、ロアナは本能的に逃げ出した。「12月の真冬にネグリジェ姿で」恐怖におののき、心臓をバクバク言わせながら自分のスクーターに飛び乗ると、全速力で疾走し、アンティーブに住む母のところに逃げ込んだ。そこしか逃げ場はなかった。

ところが1年後、17歳の時に母ヴィオレットは姿を消す。「いつの間にか姿を消したのです。学校から帰宅すると、母が荷物ごといなくなっていました」と、ロアナは2021年にフランスのテレビ局C8で放送されたドキュメンタリー『Loana, une lofteuse up and down(ロフトのロアナの浮き沈み人生)』の中で語っている。独りになった彼女は家賃を捻出するため、ゴーゴーダンサーとして働くようになった。

三角関係

同年、彼女は「初めて真剣に好きになった」グウェナエルとつきあい始め、彼の家に転がり込む。ところが交際相手の友人、スティーヴとの間の子どもを身ごもってしまう。1998年、アンティーブ=ジュアン=レ=パン病院で娘ミンディを出産するも、スティーヴには乳幼児突然死症候群で亡くなったと嘘をついた。夜の仕事があることや、グウェナエルからはひとりで帰るのならまた一緒に暮らしてもいいと言われていたことから、ロアナは娘を手放し、里子に出した。

スティーヴがミンディの存在を知るのはそれから3年後の2001年、「ロフト・ストーリー」放送中に「パリ・マッチ」誌に出た記事を通じてのことだった。彼は親権を請求し、2005年に完全な親権を獲得した。ロアナには面会権が与えられたが、彼女はそれを一度も行使していない。そのことを彼女は後悔していた節がある。2021年、数々の暴力を受けてきたロアナの人生を語った本『Sexisme Story Loana Petrucciani(性差別ストーリー、ロアナ・ペトルチアーニ)』の著者、ジャーナリストのポール・サンフルシュに彼女はこう語っている。「自分にはその権利がないと頑なに思い込んでいました。あのときに面会に行けば何かが始まったのかもしれません。時が経ち、スティーヴがある女性と出会い、その女性は娘に良くしてくれることを知りました。娘とちゃんとした家庭を築いてくれたのです。勇気が足りなかったのかもしれません、訪ねていくことができませんでした」

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2001年8月8日、サン=トロペのロアナ。photography : Suu Pierre/ABACA

プールでの出来事

2001年、ロフト入居から数日後、ロアナはジャン=エドゥアール・リパに惹かれた。ある夜、プールにいたふたりはカメラの前で情熱的なキスを交わした。誰もが記憶する官能的なシーンは、この番組を象徴するシーンとなった。ただし当時多くの人が思い込んだように、ふたりはプールでそのまま関係を持ったわけではなかった。当事者本人たちがインタビューで繰り返しそう主張している。ジャン=エドゥアールは2024年、テレビ番組『C l'hebdo』に出演し、こう語っている。「後で何かはあった。あの時はそもそも撮影されていないと思っていた。その手の映像は放送されないと約束されていたからだ。直前にかなり飲んでもいた」。

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2002年8月15日、ラマチュエルでのパーティーにて、当時の交際相手である歌手のD'Jeyと共に。photography : Petit Francis/ABACA

ドラッグの売人

ロフトで優勝したロアナは名声に溺れ、パーティーに明け暮れるようになる。ほとんど寝ずにお酒ばかりあおっていた。若く無邪気な彼女はこの人生の"逆転"を楽しんでいた。しかしやがてうさん臭い人物たちと交わるようになり、急速に転落していく。2006年、シャンゼリゼ通りのナイトクラブ「クイーン」でラルフと出会ったことが転落の始まりだった。この若い男は不動産業者を名乗り、「プリンセスみたいだ」「素晴らしい人生だね」と甘い言葉をささやき、やがて16区シャイヨ通りの彼女の住まいに転がり込む。じきに彼はコカインを使用する姿を見せるようになり、ロアナも巻き込まれていく。

「ラルフは常に粉を持ち歩いていました。悪魔の誘惑がすぐ手の届くところにあったのです。彼を失いたくないという思いと、自分はコカインに負けないという思い込みから、次第に依存症になりました」と彼女は2018年、著書『Si tendre est la vie(人生はあまりにも甘く)』で書いている。ラルフと暮らしてロアナは友人も家族も財産もすべて失った。コカインを睡眠薬と昼夜問わず摂取することで偏執的になり、ほとんど外出しなくなっていた。

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2003年5月27日、映画『Mais qui a tué Pamera Rose?(でも、誰がパメラ・ローズを殺したの?)』のプレミアでのロアナ。photography : Arnal Serge/ABACA

地獄への転落

ある朝、警察が家宅捜索にやってくる。そしてロアナは恐ろしい事実を知ることになる。恋人は不動産業者ではなくドラッグの売人であり、数か月にわたり彼女の地下室を保管庫として使っていたのだ。ラルフの言いなりだったロアナはそれでも彼と関係を続けた。ある夜、テレビを見ていた彼が突然彼女に襲いかかり、髪を引っ張り、自分の膝に彼女の頭を打ち付けはじめた。「むしった私の髪の束を彼は手にいっぱい、握りしめていました」と彼女は回想する。恐怖に駆られた彼女は逃げ出し、向かいの建物に住む老婦人の家に助けを求めた。警察が到着するとラルフは彼女を罵倒し、「一度も愛したことなんかない」「無理して一緒にいただけだ」などと残酷な言葉を浴びせる。この騒動の後、ラルフに15万ユーロをだまし取られていたことも判明する。

ロアナは被害届を出すが、薬物依存の治療施設に入ることを拒む。代わりに、依存克服を助けるというカップルを自宅に受け入れた。しかし数日後、そのカップルは彼女の宝石やパソコンを根こそぎ持って姿を消す。スターはどん底に突き落とされた。「こうした体験を経て自分自身を嫌悪するようになり、自分の皮膚や身体も嫌、自分を傷つけたい、苦しめたいという衝動に駆られるようになりました」と彼女は語っている。

2008年から2012年にかけて、ロアナは複数回の薬物過剰摂取、度重なる自殺未遂、そしてサント=アンヌ精神病院への入退院を繰り返す。ようやく立ち直りかけた頃、彼女はイベント業界のプロデューサー、フレッド・コーヴァンと出会う。2013年の交際当初から、この男性もまたラルフ同様に彼女を利用しようとしているのではないかと言われていた。やがて地獄のような日々が始まった。ののしり、平手うち、壁を破壊するなど、フレッド・コーヴァンはロアナを虐待した。彼に依存し、精神的に弱かった彼女はそれでも彼と別れられなかった。

「彼は私を見下し、罵倒しました。ある日、平手打ちを食わされ、跡が2日間も消えませんでした。私はぼろ雑巾のようでしたが、それでもそのうち事態が変わると信じていました。母は私がまた自殺を図るのではないかと恐れていました」と、彼女は2017年に雑誌「ピュブリック」の取材で語っている。2020年、フレッド・コーヴァンはロアナに激しい暴力を振るい、彼女は2回に渡り、警察に通報した。ロアナの体は痣だらけだった。「彼女は薬物を摂りすぎていて興奮しており、眠らせてくれなかった。だから起きて怒鳴り、落ち着かせるために平手打ちしただけだ」と、プロデューサーは2020年9月、「ピュアピープル」のインタビューで事実を矮小化して弁明している。一方ロアナは、写真を証拠に激しい暴行を受けたと主張し、傷害で告訴した。フレッド・コーヴァンは執行猶予付き判決と、2021年6月までの接近禁止命令を受けた。

暴力的で有害な関係を経ながらも、ロマンチストのロアナは愛を信じ続けた。最近は独身だったが、いつかは素敵な男性に出会うことを願っていた。しかしその願いが叶うことはなかった。

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2003年1月13日、スキーリゾートのアヴォリアスにて。photography : ABACA / ABACA

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2003年1月14日、アヴォリアスにて、シェフ兼レストランオーナーのクリストフ・ルロワとロアナがコック帽をかぶっている。photography : ABACA / ABACA

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2003年10月30日、パリで開催されたチョコレートショーにて、マカロンドレスをまとったロアナ。photography : Gorassini Giancarlo/ABACA

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2003年4月9日、パリでのロアナとロマン。 photography :Arnal-Nebinger/ABACA

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2005年2月10日、パリのゼニスでカメラを前にポーズをとるロアナ。 photography : Zabulon Laurent/ABACA

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2005年10月8日、カブールで開催された第12回エポナ祭でのロアナ。photography : Klein Bruno/ABACA

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2005年5月20日、カンヌ映画祭のレッドカーペットに登場したロアナと歌手のフォーデル。photography : Hahn-Klein-Nebinger/ABACA

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2005年10月8日、エポナ祭にて。photography : Klein Bruno/ABACA

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2005年10月21日、パリのポルト・ド・ヴェルサイユ展示場にて、元ミス・フランスのエロディ・ゴスワンとロアナ。photography : Gorassini-Zabulon/ABACA

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2005年10月8日、カブールにて。photography : Klein Bruno/ABACA

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2006年8月6日、サン=トロペにて。photography : ABACA / ABACA

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2006年1月14日、マシーで開催されたマシー国際サーカスフェスティバルにて、歌手のエヴ・アンジェリとロアナ。 photography :Zabulon Laurent/ABACA

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2006年6月17日、プレリーの遊園地、パルク・アステリックスにてロアナとバンジャマン・ボヴ。photography : Bernaux Edouard/ABACA

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2006年8月6日、サン=トロペにてロアナとベルナール・ムネズ。photography : ABACA / ABACA

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2008年1月7日のロアナ。photography : Soussan Greg/ABACA

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2011年2月24日、パリで番組「Vie Privée(プライベート・ライフ)」の収録中、元「ロフト・ストーリー」出演者のステーヴィ-・ブレとロアナ。photography : Colin Max/ABACA

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2019年3月11日、パリのカジノ・ド・パリにてロアナとヴァンサン・マクドゥーム。photography : Boyer David/ABACA

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2023年10月、パリでの最後の写真撮影。photography : Vim/ABACA

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text: Solene Delinger (madame.lefigaro.fr)

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