激戦地で命を救い続けた男の物語『ハクソー・リッジ』。

Culture 2017.07.27

激闘の最前線で銃を携帯せず、命を助け続けた無名者の執念。
『ハクソー・リッジ』

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太平洋戦争の史実に埋もれた衛生兵デズモンドの物語。志願兵でありながら、彼は頑固に銃の所持を拒む。酸鼻を極めた崖の上で瀕死の兵を階級も敵味方も区別せず、熱病に憑かれたようにひとりまたひとりと救うデズモンドの執念は、同じメル・ギブソン監督がキリストの受難に迫った逸品『パッション』を連想させるほど。ヒューマン劇の枠に収まらない畏敬の念に打たれる。その特異な描写力を、清新な青春期の序章、個の倫理と軍の規律がぶつかる中間章、沖縄戦を描く終章から成る3部構成の堅固さが支えている。

『ハクソー・リッジ』
監督/メル・ギブソン
2016年、アメリカ・オーストラリア映画 139分
配給/キノフィルムズ
TOHOシネマズ スカラ座ほか全国にて公開中
http://hacksawridge.jp

*「フィガロジャポン」2017年8月号より抜粋

réalisation : TAKASHI GOTO

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