北欧アイスランドから届いた、切なく美しい青春映画。

北欧のフォークロアのように、思春の季節に世界が立ち騒ぐ。
『ハートストーン』

生まれ出づる悩みを持て余すように胸と脇の産毛を抜く、少女のような少年。物憂い白夜の夏の漁村、幼なじみの親友クリスティアンとソールは急に女っ気が増したソールの姉妹を疎みながら、ハンスとベータの仲良し女子コンビにじりじりとにじり寄る。やがて、自分が否応なく惹かれるのは他ならぬソール、とクリスティアンが気付くことで、各々の性の揺らぎが村の閉鎖性とも擦れ、四角関係はねじくれる。痛ましいほどに清浄、あどけないほどに残酷な、思春期映画の秀作。

＊「フィガロジャポン」2017年8月号より抜粋

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