ハイジの物語が、雄大なアルプスを背景に現代に蘇る。

アルプスの峰々に抱かれ、少女は鷹のように飛翔する。
『ハイジ アルプスの物語』

ヨハンナ・シュピリの原作に立ち返り、ご存知ハイジの物語をスイス生まれの俊英監督が映画化。ハイジは天真爛漫な独立心の縁に「いらない子」とされた意固地がほのかに浮かぶ。彼女を厄介払いしようとして、全身で受けとめる山男アルム爺さんの無骨な深情けを名優ブルーノ・ガンツが体現。その後の別れ、クララの屋敷住まいとなったハイジが山に焦がれ夢遊病に陥る騒動から再会へと、少女の波乱の旅路の心棒となる。山羊飼いの少年ペーターのヤキモチも、足元の蝶に促されて「クララが立つ」シーンも、清冽だ。

＊「フィガロジャポン」2017年10月号より抜粋

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