フィガロが選ぶ、今月の5冊 ささいな日常がドラマになる、人生を凝縮した名短篇集。

Culture 2017.12.17

『起きようとしない男 その他の短篇』

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デイヴィッド・ロッジ著 高儀進訳 白水社刊 ¥2,376

小気味好いユーモア、ちくりと刺さる社会風刺を織り交ぜた作風がウディ・アレンの映画にもたとえられるデイヴィッド・ロッジ。収められた短篇の多くは、イギリスコミックノベルの大御所である著書の自伝的エピソードに基づく。少年時代の野心や恋心、中年男の虚栄心や絶望感など、生活のささいな出来事を切り取りながら人生を俯瞰する手腕は見事。ひとりの男のアルバムをめくるように読み進めたあとは、翻って自分の人生を振り返ってみるのも悪くない。何げない日常にもドラマは必ず潜んでいるのだから。

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*「フィガロジャポン」2017年12月号より抜粋

texte : JUNKO KUBODERA

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