接近! 東京ミレニアルズ

歌舞伎界のホープ、片岡千之助、17歳。

特集

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4歳より舞台に立つ、若手歌舞伎役者の片岡千之助。フィガロジャポン9月号では、次世代を担うミレニアルズを特集した『輝く、東京ミレニアルズ。』で、弱冠17歳にして堂々とした佇まいを見せてくれた。父に片岡孝太郎、祖父に十五代目片岡仁左衛門を持ち、2000年に生まれた、まさにミレニアムなエリート。温厚そうな笑みを顔いっぱいに浮かべながら「普通の高校生です」と語る彼は、いったいどのような人物なのか。伝統芸能という世界に生きることについて、控えめに、そしてじっくりと語ってもらった。

幕が開く直前、僕は役者になる。

「普段の学校生活では友達と話して、昼休みにサッカーをして、お弁当を食べて午後の授業も大変だなって考えてるくらい。学校にいる時は普通の高校生をしているけれど、ひとりでいる時はやっぱり歌舞伎のことを考えている。小さい頃から歌舞伎に携わってきて、もちろん前向きではない時もあったし、ナーバスになる時もある。でも、舞台に立つことが好きということは、僕は人に見られるのが好きなんだと思う。」

“高校生”と“歌舞伎役者”は環境によって自動的に切り替わる。以前、学校の友達が舞台に立つ千之助を見た際に、あまりの違いに驚いたと言う。そのスイッチは実に大きな変化をもたらし、彼自身も飄々としながら楽しんでいるようだ。

「客席を見た瞬間、海に投げ出される感じ。なんというか、大海原を自由に泳げるという楽しさと、溺れるのも自分次第という感覚が表裏一体。でも、公演が始まる直前ギリギリ、毎回大きなスイッチが入る。『あとはもう自分で泳ぐしかない』という緊張感は、舞台で力になるんです。それが、プレッシャーもありながら、本番を演じることが好きである理由だと思います。一方で、稽古場の時はほとんどスイッチが入れられない。もちろん真面目です。ずっと稽古をつけてくださっている先生は、本番はどうにかなるでしょとわかってくださっていて。僕自身、まだまだ挑戦していないことばかりなので、スイッチの場所も変わって行くと思います」

すべての刺激は、必ずこの先の自分につながる。

役者として芝居や踊りを愛するとともに、なによりも強い好奇心と冒険心が彼のエネルギーになっている。「ルールが多い世界だからこそ、その先を見据えるのがモチベーション」と。

「簡単に言うと、いまある枠からはみだしたい。そのためにいろいろなことに挑戦したい。踊りや古典の芝居には型があって、それはもちろん練習しないといけないけど、ある程度型を作ったら自分の色を加えていきたいなと思っていて。表現することをずっと考えていると、その時の自分の考えやこうなりたいというイメージをぶつけてもおもしろいかなと思うようになるんです。これはまだ先の話だけど、『自分にしかできないことをやろう』という意識はいまから持っていたいんです」

歴史を重んじ、変化を恐れない。その言葉に、まさに次世代の可能性を感じる。そして、伝統を築いてきた先人に対して、未来を切り開いて行く新世代の覚悟と自信と挑戦の宣誓でもある。

「そう思うようになったのも、これまでさまざまな表現者の方々にお会いして、それぞれの特徴や表現の仕方などを見て、自分も何か持ちたいと強く思ったから。好きな方はたくさんいるのですが、いまあげるとすれば、田中泯さんと森山未來さん。動く瞬間を見て感動したのを覚えています。本当の表現者で唯一無二の存在」

いわゆる可能性の種はつねに身の回りにあって、手を伸ばせば手に入る。ただ大事なのは、その手を伸ばすことなのだ。

「歌舞伎だけではなく、他のジャンルからの刺激も受けながら、いいと思うもの、おもしろいと思うもを率先して吸収したい。それらは踊りやこの先にやるお芝居など、どこかで必ずつながると思っていて、決して無駄になるものはない。芸能の世界では学校に通わず芸に専念する方もいて、こっちから見ると学校に行って友達と遊ぶことは普通じゃできないことだったりするんです。だから、僕は友達のみんなの未来に対する考え方を聞きたくなる。これからどうしたいの、どんな人になりたいのって。友達の中には、すでにちゃんとやりたいことを決めている人もいるし、まずは大学に行ってから考えるなど、人の話を聞くのは刺激になりますね」

放課後に撮影現場に着てくれた彼は、折り目が正しくついた制服を品良く着こなしていた。インタビューの終わり際、「友達は、僕には進むべき未来があっていいねって。でもすごく大変だよって返すんです」と教えてくれた。その時の笑顔を見て、その場にいた大人たちはみんな勝手にうれしくなったのは言うまでもない。

>>片岡千之助に17問17答!

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●片岡千之助に17問17答!

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放課後、中目黒のスタジオにて。夕方になる前のうっすらとした光を受けて。

・好きなアプリ:フットボールネクスト。「サッカーを扱ういろいろな媒体をまとめているアプリです。移籍情報などがすぐわかったり」

・好きな曲:a-haの「Take On Me」、ジブリ映画のサントラ、ウルトラマンダイナのOP「ウルトラマンダイナ」。「聴く曲はその日ごとの気分で決めています。今日は『Take On Me』。元気を出したい時は、ウルトラマンダイナのOPを聴いてテンションを上げています」

・好きな映画:『セッション』『シング・ストリート』。「『セッション』は影響を受けすぎて、ドラムやりたいと思ったほど(笑)。表面的でなく芯にある強さを感じて、普通は情熱の赤い炎だけどこれは青い炎のイメージがあります。『シング・ストリート』は本当に大好き! ストレートに心に響きましたね」

・クセ:恥ずかしい時に「てへへ」と頭かくこと。

・右ポケットに入っているもの:スマホとどこかのコンビニのレシート。

・尊敬する人:十八代目中村勘三郎、田中泯、コリン・ファース。「正統派のカッコよさと色気を感じる」

・東京の好きな駅:広尾。「駅の作りやそこに広がる街はシンプルで無駄なものがない」

・好きな漫画:『NARUTO』『ONE PIECE』。「ナルトを読んでいると、たまに彼に自分を当てはめちゃう。先代の火影を超えろ、と言った話とか」

・自分の弱点:「ちょっといじられるとすぐヘコむ。強く言われるとしょんぼりする。性格的に攻めたいけど、守りに弱い」

・週末に食べたいもの:特に決まってない。「先週はスタバのアメリカンワッフルをクリーム付きで食べました!」

・好きな飲み物:オランジーナ。

・寝る時の格好:Tシャツにパジャマのパンツ。「考え事をしたり頭が働いちゃって夜に寝るのが苦手。日中はすぐ寝ちゃうけど」

・好きな香り:家の前に咲く金木犀の香り。

・睡眠時間(オン/オフ):6、7時間くらい。「オンオフあまり変わりません」

・最近のスランプ:「歩いている時など、急に考え込む時があって。自分はどう生きたいんだろうとか、人としてちゃんと生き抜けるんだろうとか、考えても見つからない、生きていく中で見つかるようなことを、ついぐるぐる考えちゃう」

・バッグに入っているもの:教科書、ルーズリーフ、鍵、タオル、漫画一冊。

・SMSやLINEでよく使う言葉:「まあ〜でしょ」「とりあえず」

プロフィール
かたおかせんのすけ●2000年、東京都生まれの17
歳。04年に歌舞伎座『松栄祝嶋台』の若鳶千吉役で
初代、片岡千之助を名乗り、初舞台を踏む。12歳
でスタートさせた自主公演「千之会」も4回目を迎
える。また八月納涼歌舞伎座、第2部にも出演予
定。祖父は15代目片岡仁左衛門、父は片岡孝太郎。
ニット¥271,000、パンツ¥64,000/ロロ・ピアーナ(ロロ・ピアーナ銀座並木通り本店) 
tel:03-3572-0303

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texte : HISAMOTO CHIKARAISHI, photos : YUSUKE ABE (YARD), stylisme : MASAAKI IDA , coiffure et maquillage : EITA (Iris)

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