巨匠ハネケが描く、フランス・ブルジョワ家族の自壊。

シックな屋敷の家族の物語に、皮肉と毒を仕込む巨匠の挑戦。

『ハッピーエンド』

前作『愛、アムール』で至純の夫婦愛を結晶化させた巨匠ハネケが、その後日談風の仕掛けも施したこの新作で陽と陰の針を振り切る。 名優ジャン=ルイ・トランティニャン演じる老富豪は妻を亡くし、建築業もいまは娘（イザベル・ユペール）に委譲した。代替わりして世知辛くなったフランスの資本家ファミリー。移民労働者の現実などどこ吹く風の無風状態で一家が自壊してゆくさまは、洗練された微笑みが凍りつくほど。唯一お爺ちゃんと心を通じた孫娘の視線が利いている。彼女の操るスマホ画面が超絶にクール！

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＊「フィガロジャポン」2018年4月号より抜粋