主演は事件の当事者本人!? イーストウッド監督最新作。

Culture 2018.04.10

失意続きの普通の若者たちが、列車内のテロに遭遇した瞬間。

『15時17分、パリ行き』

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老匠が大作の合間に撮った、ひと筆書きのようなヒーロー譚。学校になじめない地方出の仲良し3人組は、イーストウッド好みのちょっと半端なアメリカン・ナイスガイだ。スターを配さず、実話内の当人に演じてもらい、休暇旅行中に偶然居合わせた彼らが食い止めた無差別テロ未遂事件に肉薄するのが、今回の演出上の野望となる。乗客側の視点に終始するため、目出し帽の暴漢は目が鋭いだけの不気味な怪人のようだが、捕縛から重傷者の手当てへ、甘い情緒の暇も与えぬ高速列車内の3人の連携は緊迫のリアリティだ。

『15時17分、パリ行き』
監督/クリント・イーストウッド
2018年、アメリカ映画 94分
配給/ワーナー・ブラザーズ映画
丸の内ピカデリーほか全国にて公開中
wwws.warnerbros.co.jp/1517toparis

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*「フィガロジャポン」2018年4月号より抜粋

réalisation : TAKASHI GOTO

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