王室を陰から支えるスーパービジネスウーマンとは?

Culture 2018.04.23

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ケンブリッジ公爵夫人の管理兼執事役を務めるキャサリン・クイン。Photo:Getty Images

王室の人々の公務の管理や私生活の保護を業務とする、 王室を陰で支える女性たちがいる。正真正銘のビジネスウーマンである彼女たちの規格外の履歴書を覗いてみよう。

ウィリアム王子の妻キャサリン妃は、輝かしいキャリアを積んできた女性、キャサリン・クインを新しい個人秘書に迎えた。キャサリン妃が厚い信頼を寄せていたレベッカ・ディーコンの後を引き継いだ彼女は、2017年10月に就任以来、妃の公務を傍らで補佐している。
ケンブリッジ公爵夫人の右腕として、スケジュールの管理、演説の原稿チェック、プレスや諸団体との連絡係、王室との調整役を務め、“Lady-in-waiting”(侍女)として、常に公爵夫人の三歩後ろに控えている(彼女の姿が公式写真の多くに映っているのはそのためだ)。

また、賓客に応対し、花や贈り物を受け取り、髪型とメイクのバランスを整え、会見相手の名前や経歴、あるいは守らなければならない外交儀礼や慣習についてキャサリン妃の耳にこっそりささやくのも彼女の役目。すでに超のつくベテランビジネスウーマンに任された最重要ミッションとは、ざっとこんなところだろう。

采配を振るうビジネスウーマンたち

ケンジントン宮殿(キャサリン妃とウィリアム王子のロンドンの住居)にやってくる前、彼女は、有名なオックスフォード大学の経営大学院、サイード・ビジネス・スクールの校長を務めていた。彼女自身も同校でMBAを取得している。ロンドン北西のランカシャー州出身で、離婚歴のあるシングルマザー。もともとロンドン弁護士会に所属する弁護士で、イギリス気象庁や退役軍人会などで企業内弁護士として勤務した経歴も持つ。
王家の継承者たちは代々、彼女のように目覚ましい経歴をもつ女性たちに、公務の管理兼執事役を任せてきた。

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デンマーク王室メアリー妃(右)とアシスタントのクリスティーヌ・ピイ・ハンセン(左)。ニューヨーク、2015年10月1日 Photo:Twitter 

2015年6月、クリスティーヌ・ピイ・ハンセンは、デンマーク王室メアリー妃の側近に就任した。コペンハーゲン大学で学位を取得した彼女は、ブリュッセルでNATO代表団の一員として働いた後、デンマーク公共テレビ局TV2に法律家として雇用され、2004年に採用された外務省には11年間勤務した。さらに現在40代の彼女は、難民控訴審議会で弁護士を務めていたこともある。
完璧な経歴も野心も、デンマーク王国の最上層に採用されるにふさわしいといえるだろう。

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慈善的目的のための活動

素晴らしい経歴を積み、責任あるポストを渡り歩いてきたビジネス界の女性たちに共通するのは、慈善的活動を通して難民危機や男女平等といった重要な問題に取り組んでいるということだ。

彼女たちが新たに就いたのは人前に出る機会が非常に多い役職で、そのうえ彼女たちの背後では上司の威光が輝いている。が、しかしその立場をもってすれば、たしかに、これ以上は望めないほど多くの聴衆に向かって、影響力の強いメッセージを伝えることが可能だろう。

キャサリン・クインはサイード・ビジネススクールの学生時代、「Women Transforming Leadership」プログラムで熱心に学んでいた、とイギリスの日刊紙「ザ・テレグラフ」は報じている。新しい職務は彼女にとってその信念を生かす場となることだろう。

王室のために尽くす友人

デンマーク王室では、7年間忠実に奉仕したタニア・ドッキーが海運会社マースクの広報部への転職を理由に辞職し、クリスティーヌ・ピイ・ハンセンがその後を引き継いだ。キャサリン妃の元“アシスタント”であるレベッカ・ディーコンも、自身の婚約がきっかけで2017年に英国王室を去った。
2007年に彼女に目を留めたのは、ウィリアム王子とハリー王子だった。当時、彼女は、ダイアナ元妃の没後10年を記念して開かれた『コンサート・フォー・ダイアナ』のアシスタント・プロデューサーだった。辞職後まもなく、レベッカ・ディーコンは、ロイヤルファミリーとゆかりの深いセント・ジェームス宮殿内の王室礼拝堂で結婚式を挙げた。

「テレグラフ」紙が報じたところによると、王室礼拝堂で挙式する許可を得るために、キャサリン妃自らが働きかけたということだ。
Ladies-in-waitingが右腕でありかつ友人であることがこれでおわかりだろう。

キャサリン・クインの着任は、ちょうど、ケンブリッジ公爵夫人にとって人生の転換期に当たる。現在、夫人は第三子の出産を控えているが、それだけでなく、エリザベス2世女王の公務が軽減される方向にある中で、今後夫人の役目がさらに責任の重いものとなるのは間違いない。そうした事情もあって、より強い信頼で結ばれた身近で支えてくれる仲間が必要なのだ。

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キャサリン妃とシャーロット・オブ・ケンブリッジ。
お揃いママと娘。

娘の洗礼式のドレスに合わせて、真っ白な衣装を選んだキャサリン妃(キングス・リン、2015年7月5日)
Photo:Dunlea Michael/Barcroft Media/ABACA

娘のピンクの服に合わせ、巨大なバラをあしらった帽子で。(2016年6月11日、ロンドン)
Photo:Utrecht Robin/ABACAPRESS.COM

シャーロット王女のワンピースは空色のリバティ・プリントだが、靴を見れば、ママのドレスとお揃いということが一目瞭然。(2016年9月24日、カナダ)
Photo:Hayward Jonathan/CP/ABACA

ボルドー色のコートとワインレッドのタイツが見事な調和。クリスマスのミサへ。(エングルフィールド、2016年12月25日)
Photo:Photoshot/ABACA

家族でスキー。男子ふたりがコントラストで遊ぶ一方、女子ふたりは色を揃えて。(フレンチ・アルプス、2016年12月28日)
Photo:PA Photos/ABACA

ピッパ・ミドルトンの結婚式では、パウダーローズの色合いで親子の絆を。(2017年5月20日、エングルフィールド・グリーン)
Photo:PA Photos/ABACA

ふたりの大きな笑顔とピンクのハーモニー。何事もいい加減に済ませていない証拠に、シャーロット王女の靴の色とお兄ちゃんのサスペンダーの色がお揃い!(ロンドン、2017年6月17日)
Photo:PA Photos/ABACA

共通点がひと目で分かるほどはっきりしていないかもしれないが、よく見れば、ママのスーツの白は、小さなプリンセスのドレスの縁取りに。最高のディテールは、ママのペンダントヘッドのルビーが、娘のバレッタの色に合わせられていること。(2017年7月17日、ポーランド)
Photo:Edwards Arthur/PA Photos/ABACA

こんなにはっきりしたライラック色のワンピースに調和させるのは難しい。なのに、シャーロット王女の水玉のドレスはママのドレスとぴったり。(ハンブルグ空港、2017年7月21日)
Photo:PA Photos/ABACA

キャサリン妃、お気に入りのブルーでポーランドとドイツへ。シャーロット王女の空色のルックに合わせるよい機会。(ポーランド、2017年6月19日)
Photo:Lipinksi Dominic/PA Photos/ABACA

texte : Lisa Hanoun(madame.lefigaro.fr)

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