ルグリ率いるウィーン国立バレエ団が来日、公演の見どころは?

Culture 2018.04.27

パリ・オペラ座バレエ団でエトワールを23年間務め、2010年からは芸術監督としてウィーン国立バレエ団を率いるマニュエル・ルグリ。そんな彼が、ウィーンでシーズン閉幕の恒例となった「ヌレエフ・ガラ」と、振付家として初めて手がけた全幕作品『海賊』を携えて来日する。5月9日からスタートする公演の見どころについて、ルグリ本人のインタビューを交えて紹介!

ルグリ自身も出演、国外初披露の「ヌレエフ・ガラ」。

自らの師である伝説のダンサー、ルドルフ・ヌレエフの芸術性と偉大な功績を継承すべく、ルグリが「ヌレエフ・ガラ」をスタートさせたのは2011年。ルグリ自らも出演するこのガラは、毎年ウィーン国立バレエ団のシーズン最後を飾る公演として行われ、このためにウィーンを訪れるファンがいるほど。人気の理由は、演目の多様性。世界中の巨匠振付家による作品が万遍なく並ぶだけでなく、ルグリがいまもっとも関心を寄せる若手振付家の作品を見られるとあって、バレエ界からの注目度も高い。

そんなガラの国外初披露となる本公演。今年はヌレエフ生誕80周年ということもあり、これまで以上に豪華なラインナップが実現する。21世紀版『瀕死の白鳥』と言えるプロイエット振付の『シーニュ 白鳥』や、バレエ団のダンサーであり豊かな振付の才能に恵まれたペシやルカーチの作品などに加え、公演のハイライトは、すべてのヌレエフ版を踊り熟知しているルグリが、ヌレエフの古典作品から見どころだけを集め構成する夢のようなプログラム「ヌレエフ・セレブレーション」。「私のバレエが上演され続ける限り、私は生きている」というヌレエフの言葉を、まさに実感できるような内容だ!

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世界が注目するキミン・キムや橋本清香も出演、ルグリ版『海賊』。

2016年のプレミア公演時には全日ソールドアウトを記録し話題となった、ルグリ版の『海賊』。今回の主要キャストにはルグリが絶大な信頼を寄せるバレエ団の看板ダンサーが勢揃いする。さらにはロシアを代表するマリインスキー・バレエ団で、アジア人初のプリンシパル昇格という快挙を成し遂げたキミン・キムがゲストとして登場(5月12日夜)。すでにパリ・オペラ座バレエ団やアメリカン・バレエ・シアターなど世界中でその実力を証明しているキムに、ルグリが「ぜひ自分の作品を踊ってほしい」とラブコールを送り、今回の出演が決まったという。

さらに『海賊』には、日本人で初めてウィーン国立バレエ団のプリンシパルに就任した橋本清香も出演(5月13日)。バレエファンならずとも心躍る貴重な公演、見逃さずチェックしたい。

 

ウィーン国立バレエ団 2018年来日公演
日程:2018年5月9日(水)~13日(日)
「ヌレエフ・ガラ」5月9日(水)18:30、5月10日(木)14:00
『海賊』(※日本初演)5月12日(土)12:30/18:30、5月13日(日)14:00
会場:Bunkamuraオーチャードホール
料金:S¥19,500、A¥17,000、B¥15,000、C¥12,000、D¥9,000、E¥6,000(C、D、E席は完売)
●問い合わせ先:
Bunkamura チケットセンター
tel:03-3477-9999 (受付時間 10:00〜17:30)
http://www.bunkamura.co.jp/orchard/lineup/18_wiener/

[大阪公演]
『海賊』
2018年5月15日(火)19:00開演
会場:フェスティバルホール
●問い合わせ先:
フェスティバルホール
tel:06-6231-2221(受付時間 10:00〜18:00)

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ルグリにとって未知なる挑戦だった『海賊』。

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©Wiener Staatsballett/Ashley Taylor

私が手掛ける振付作品として『海賊』を選んだ理由は、私にとって全く未知の作品だったからです。

 

そう語るルグリ。彼の『海賊』はどの版の影響も受けず、台本を徹底的に研究し、首領コンラッドとメドーラの恋物語に焦点をおいている。

真っ白な状態から、新しい演出や物語の構成を考えることができたことは、創作のスタートとしてとても良いことでした。

 

埋もれていたアダンの楽曲で構成された第3幕のオダリスクや、『シルヴィア』の音楽を使用したメドーラとコンラッドの美しいパ・ド・ドゥなど、ルグリ版だけで見ることのできる踊りも追加。

音楽はアダンのオリジナルに基づいたリチャード・ボニングのCDを持っていました。これは多くの振付家が使っていますが、なかにはこれまでの『海賊』では使用されていない多くの曲があり、なぜだろうと疑問を持ちました。そこで新しい音楽をできるだけ使ってみようと思ったのです。

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©Wiener Staatsballett/Ashley Taylor

新たに追加された踊りでは、古典を尊重しつつ、限界まで装飾を加え技巧性を高めた、ルグリの舞を髣髴とさせる振付が楽しめる。

私はこれまで自分が振付をすることになるとは全く思っていませんでしたが、これは素晴らしい機会ですし、私はこのチャレンジに挑みたいと思いました。現時点では、これからも他の振り付けをするかは私にもわかりません。ただはっきり言えるのはこの作品の創作は濃密で、創造性あふれる時間であったこと。ダンサーとともにより高いところへ押し出してくれる機会となったのです。

 

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©Wiener Staatsballett/Ashley Taylor

今回は3キャストを組みましたが、もっともっと多くの組み合わせが可能なほどです。新しい世代の新しい才能がたくさんいますからね。観客のみなさまには、複数の異なるキャストで見て頂けると、全く違う作品のようにお楽しみいただけるのではないでしょうか。物語自体さえ異なって見えるかもしれません。

 

ルグリの類稀なる感性がいかんなく込められた『海賊』、この機会に堪能しなくては勿体ないかも?

 

マニュエル・ルグリへのインタビュー、ノーカット版を英語にてお届け。

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