モテる男ホン・サンスの愛についての考察。その3

Culture 2018.06.17

“愛について考える時、日常的な幸や不幸、善悪よりも
もっと大事なことから出発すべき”

世界3大映画祭に毎度のごとく招かれ、呼吸するかのように精力的に映画を撮り続ける韓国の映画監督ホン・サンス。どうにも、モテる男だ。男と女の関係を描き、人生を眺め、映し撮る彼の言葉から読みとる、愛とは……何?

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『 夜の浜辺でひとり』のヒロインが、愛する映画監督と再会する場面で、監督は彼女に一冊の本を贈る。そして「愛する時 愛について考える時 日常的な意味における幸福や不幸 日常的な意味における善悪の区別よりも さらに崇高なことから出発すべきである そうでなければ 何も考えるべきでないと気付きました」という一節を朗読する。愛するということは、自身のエゴや損得、日常の善悪を捨て、崇高な意味を見つめること。わかっちゃいるけど、実践はなかなかに難しいことである。

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『夜の浜辺でひとり』

不倫報道から逃れ、ドイツ・ハンブルク、そして韓国・江陵を旅する女優(キム・ミニ)。海辺の町をそぞろ歩き、旧友と語らいながら自己と向き合う心の移ろいを幻想的な風景とともに描く。ベルリン国際映画祭にて、キム・ミニが主演女優賞を受賞した作品。

●監督・脚本/ホン・サンス
●出演/キム・ミニ、ソ・ヨンファ、クォン・ヘヒョ、チョン・ジェヨン、ソン・ソンミ、ムン・ソングン
●2017年、韓国映画
●101分
●配給/クレストインターナショナル
●ヒューマントラストシネマ有楽町、ヒューマントラストシネマ渋谷ほか全国にて公開中
©2017 JEONWONSA FILM CO.ALL RIGHTS RESERVED.



Sang-soo HONG

1961年、ソウル生まれ。大学で映画を学んだ後、アメリカ留学で美術を専攻しながら実験映画を制作。96年、『豚が井戸に落ちた日』で長編デビュー。ほかに『女は男の未来だ』(2004年)、『アバンチュールはパリで』(08年)、『自由が丘で』(14年)など。カンヌをはじめ、世界3大映画祭の常連として高い人気を誇る。

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interview et texte : REIKO KUBO

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