モテる男ホン・サンスの愛についての考察。その5

Culture 2018.06.29

“愛に追い求める価値は人それぞれ。当事者以外がその価値に口出しするのはナンセンス”

世界3大映画祭に毎度のごとく招かれ、呼吸するかのように精力的に映画を撮り続ける韓国の映画監督ホン・サンス。どうにも、モテる男だ。男と女の関係を描き、人生を眺め、映し撮る彼の言葉から読みとる、愛とは……何?

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もしも、あの時こう言っていたら……? 人々の言葉選びやタイミングによって微妙に異なりずれていくシチュエーションを、ふたつのパターンで見せる非常にユニークな構成の『正しい日 間違えた日』。

『正しい日 間違えた日』の中で、ヒロインの先輩から、結婚しているのに恋の噂が絶えないと批判された映画監督は「心がすさんでいた時に結婚した。僕とは正反対の優しい人だった。だから生きるために結婚した」と正直に告白する。“妻がありながら”という糾弾に対して、実生活での騒動を経験したホン・サンスは「恋愛に関して、人それぞれに追い求める価値があり、その価値を実現するためのさまざまな行動がある。一個人が追い求める価値について、当事者以外がその価値に口出しするのはナンセンス」との思いを強めたという。

『正しい日 間違えた日』

映画監督(チョン・ジェヨン)と観光名所で出会った女性(キム・ミニ)。同じ男女が同じ場所で語らい、些細なタイミングの違いが恋の行方を左右する模様を、ふたつの展開を並べて描くユニークな作品。ロカルノ国際映画祭金豹賞&主演男優賞を受賞。

●監督・脚本/ホン・サンス
●出演/チョン・ジェヨン、キム・ミニ、コ・アソン、チェ・ファジョン、ソ・ヨンファ、ユン・ヨジョン
●2015年、韓国映画
●121分
●配給/クレストインターナショナル
●6月30日より、ヒューマントラストシネマ有楽町、ヒューマントラストシネマ渋谷ほか全国にて順次公開
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Sang-soo HONG

1961年、ソウル生まれ。大学で映画を学んだ後、アメリカ留学で美術を専攻しながら実験映画を制作。96年、『豚が井戸に落ちた日』で長編デビュー。ほかに『女は男の未来だ』(2004年)、『アバンチュールはパリで』(08年)、『自由が丘で』(14年)など。カンヌをはじめ、世界3大映画祭の常連として高い人気を誇る。

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interview et texte : REIKO KUBO

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