カンヌに出品! 東出昌大が一人二役に挑む。

Culture 2018.10.09

恋のオブセッション=妄執を、そっと軌道修正する出会い。

『寝ても覚めても』

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朝子は放浪児・麦(ばく)に大阪でひと目惚れする。次に、麦と瓜二つの堅実な亮平(東出昌大一人二役)を見初め、東京で暮らす。朝子は一見、茫洋としている。だが、失踪した恋人にそっくりだから好きというのは、いわば恋の妄執を貫くことだ。柴崎友香の同名小説の筋立てを忠実に踏まえつつ、生活の中で大震災の余波を受けた朝子と亮平が東北の漁師たちと交際する映画発の挿話を、濱口監督はさりげなく添える。清々しいほど身勝手な恋の妄執と、思いがけない互助体験の清新さ。その交差の行方が終局の綾をなす。

『寝ても覚めても』
監督・共同脚本/濱口竜介
2018年、日本・フランス映画 119分
配給/ビターズ・エンド、エレファントハウス
テアトル新宿ほか全国にて公開中
http://netemosametemo.jp

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*「フィガロジャポン」2018年10月号より抜粋

réalisation : TAKASHI GOTO

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