フィガロが選ぶ、今月の5冊 芥川賞作家が送る、人間工場と対峙する少女の物語。

Culture 2018.12.31

人間工場に立ち向かう、少女のアグレッシブな闘い。

『地球星人』

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村田沙耶香著 新潮社刊 ¥1,728

奈月は、生き延びるために「魔法少女」になった。性的ないたずらを受けた少女が自らの魂を守るために生み出した妄想が導火線となって、女性という性を生きることの閉塞感が浮かび上がる。地球星人たちは、子宮という部品を使って子どもをつくる人間工場に取り込まれることを当たり前と思って疑いもしない。少女が挑んだ孤独な闘いは、常識と非常識が反転する衝撃の結末まで突き進む。社会の部品となることで安息を得る現代人の心理を描き出し、芥川賞を受賞した『コンビニ人間』が20カ国で翻訳されるなど、世界的にも注目を集める作家による長編。

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*「フィガロジャポン」2018年12月号より抜粋

réalisation : HARUMI TAKI

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