南米から南欧へと続く、奇跡のようなロードムービー。

Culture 2019.01.05

行き場のない南米の老人の、生涯を賭した欧州横断の旅。

『家へ帰ろう』

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88歳のユダヤ系仕立て屋アブラハムは、育てた子らに厄介払いされるのを察し、南米から南欧へそろりと出奔。70年以上前の戦時下、窮地を救ってくれた恩人に手製のスーツを贈るため、ポーランドまでアポなしの旅を目論む。が、有り金をマドリードの安宿で盗まれ、ハナから立ち往生。でも、この爺さん、偏屈なくせに不思議な愛嬌があって、スペインの名女優アンヘラ・モリーナが陰影豊かに演じる宿の女将ら、旅先の女たちに助けられ、人生の目的地に近づくのだ。抑制の利いた情感とユーモアが、静かに胸を打つ。

『家へ帰ろう』
監督・脚本/パブロ・ソラルス
2017年、スペイン・アルゼンチン映画 93分
配給/彩プロ
シネスイッチ銀座ほか全国にて公開中
http://uchi-kaero.ayapro.ne.jp

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*「フィガロジャポン」2019年1月号より抜粋

réalisation : TAKASHI GOTO

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