フィガロが選ぶ、今月の5冊 平松洋子が、立ち食いそばについて綴るエッセイ。

Culture 2019.01.13

一杯の立ちそばに潜む哲学、街歩きが楽しくなるエッセイ。

『そばですよ(立ちそばの世界)』

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平松洋子著、キッチンミノル写真 本の雑誌社刊 ¥1,836

新そばの季節。といっても、この本で巡るのは街角に佇む立ちそば。「安くて早いだけ」と侮るなかれ。老舗に負けない名店揃い。抜群にうまいつゆ、ここでしか食べられない天ぷらには、ちゃんと理由があった。老舗のかつお節屋が出した「そばよし 日本橋本店」。そば前のちょっと一杯が楽しい「四谷 政吉」。おいしさの背景にある店主の来歴を引き出すのは、著者ならではの名人芸。限られたスペースで何ができるか。立ちそば屋の哲学は、繰り返す日常を味わう極意を教えてくれる。男性に独占させてはもったいない。街歩きの地図が変わりそうな奥深さ。

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*「フィガロジャポン」2019年1月号より抜粋

réalisation : HARUMI TAKI

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