保守的な町に本でささやかな変革を起こす、女性の物語。

Culture 2019.04.07

風光明媚なスモールタウンで、 書物への尽きぬ愛が波紋を呼ぶ。

『マイ・ブックショップ』

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1950年代末、フローレンスは夫の遺志を継ぎ、イギリス東部の海辺の廃屋を買い取って小粋な本屋を開業する。ナボコフの『ロリータ』、ブラッドベリの『たんぽぽのお酒』ほか、書物への偏愛が物語の推進力となる。のびやかで、ちょっと浮世離れした風物詩。そのいっぽうで、権威や風紀を盾に彼女を蹴落とそうとする田舎町の名士たちの、ソフィスティケートされた嫌みったらしさが妙にリアルだ。おかしくて辛辣で、敗北の中にも心意気と不屈さがある。『死ぬまでにしたい10のこと』の才媛監督の、たおやかな新境地。

『マイ・ブックショップ』
監督・脚本/イザベル・コイシェ
2017年、イギリス・スペイン・ドイツ映画 112分
配給/ココロヲ・動かす・映画社○
シネスイッチ銀座ほか全国にて公開中
http://mybookshop.jp

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*「フィガロジャポン」2019年4月号より抜粋

réalisation : TAKASHI GOTO

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