ヘイ監督最新作、孤独な少年が愛馬と歩む荒野の叙事詩。

Culture 2019.04.27

寄る辺なき少年と愛馬が行く、野ざらし、烈風の旅の気高さ。

『荒野にて』

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ヘイ監督の出世作『さざなみ』は、円満な老夫婦の心の疑念を室内シーンを軸に捉えたミニマルな秀作だった。この新作は一転、多情ゆえのトラブルで父が急死し、四面楚歌となった15歳の少年が自然界と人間界をさすらう荒野の叙事詩だ。過酷な通過儀礼の旅のおともは、恩のある牧場からさらった処分間際の老サラブレッド。若手の急上昇株チャーリー・プラマーの、純で壊れやすい少年性を湛えた捨て身の演技は賞賛に値する。愛馬との別れは胸がつぶれそうになる本編屈指の名シーン。終幕の静かな余韻も捨てがたい。

『荒野にて』
監督・脚本/アンドリュー・ヘイ
2017 年、イギリス映画 122分
配給/ギャガ
ヒューマントラストシネマ渋谷ほか全国にて公開中
https://gaga.ne.jp/kouya

*「フィガロジャポン」2019年5月号より抜粋

réalisation : TAKASHI GOTO

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