年末年始は海外ドラマ三昧。#07 【海外ドラマ】NYを舞台に、1話完結で軽やかに描く恋物語。

Culture 2019.12.07

「ニューヨーク・タイムズ」紙の人気コラム「Modern Love」に投稿されたエッセイに基づき、ニューヨークで暮らす人々の愛にまつわるさまざまな物語を描く。1話完結で30分程度、シーズン1は全8話から成る「モダン・ラブ ~今日もNYの街角で~」は、『ONCE ダブリンの街角で』(2006年)のジョン・カーニーが手がけるラブストーリーのアンソロジーだ。

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第3話の主役アン・ハサウェイは、問題を抱える女性を鮮やかに演じてさすがの演技派! ブルックリンのレッドホックにあるニューヨークの老舗スーパーマーケット、フェアウェイで素敵な男性との出会いがあるが……。

「モダン・ラブ ~今日もNYの街角で~」(2019年)

独身女性と彼女を見守る年上のドアマン、深刻な問題を抱えているのに誰にも言えずに人間関係を築けない女性、カウンセリングを受けている中年夫婦、養子を迎えたいと願うゲイのカップルetc.……。どこにでもいるような普通の人々を、アン・ハサウェイ、ティナ・フェイ、デヴ・パテル、アンドリュー・スコット、ジュリア・ガーナーら映画でもおなじみの豪華キャストが演じる。

もうこのキャスティングだけでテンションが上がるが、それぞれの話はびっくりするほどシンプルでありふれている点にこそ、本作のよさがあると言える。ノーラ・エフロンのロマンティックコメディのように、なんてことないけれどじんわりと心に染み入るような、あるいはさらりとした軽い口当たりの中にも人生のちょっとした教訓があるような。過激で刺激的な表現だったり、社会的な意義やメッセージ性の強い重厚な作品が多い昨今。こんな作品が見たかったんだよなあと思う人も、きっと少なくないはず。

191125-EP5_1.jpg第5話に登場する、「ニュースルーム」(2012〜14年)のジョン・ギャラガーJr.(右)と『キングスマン』(14年)のソフィア・ブテラ(左)。ノリータにある個性的なエリザベス・ストリート・ガーデンの美しさにもうっとり。

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『はじまりのうた』(13年)など音楽映画を多く手がけているカーニーらしさも、本作を特別なものにしている重要な要素だ。普通の人々の何気ない日常には、常に音楽が自然な形で寄り添っている。ドラマが気に入ったら、ぜひサウンドトラックもチェックしてみて。カーニー作品『シング・ストリート 未来へのうた』(16年)のオリジナル曲を手がけたゲイリー・クラークによる美しいピアノの音色もまたさりげなくも心地よい。

もうひとつの主役と言えるのが、ニューヨークの街のロケーションだ。セントラル・パークのテニスコートや動物園からブルックリン、ノリータ、イースト・ヴィレッジ、ハドソン川沿い、そしてヨークビル地区にあるカール・シュルツ公園まで、普段着のニューヨークの景色を存分に楽しませてくれる。ボビー・ショートが歌う「I Happen to Like New York」に代表される、ニューヨークにゆかりのある音楽の使われ方も粋で旅情を誘われる。

191125-EP7_6.jpg第7話で、ゲイのカップルを演じる「SHERLOCK/シャーロック」「Fleabag フリーバッグ」のアンドリュー・スコット(右)とブランドン・カイル・グッドマン(左)。ふたりが暮らすイースト・ヴィレッジの街並みも趣がある。

「モダン・ラブ ~今日もNYの街角で~」予告編。

「モダン・ラブ ~今日もNYの街角で~」

原題/Modern Love
監督・脚本/ジョン・カーニーほか
出演/アン・ハサウェイ、ティナ・フェイ、デヴ・パテルほか
Amazon Original作品
Amazon Prime Videoにて独占配信中

 

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texte:SACHIE IMA

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