自宅待機中も心の平穏を保つための、6つのアドバイス。

Culture 2020.04.09

ふたりの心理学の専門家が伝授する、自宅待機中も心安らかに過ごすための方法。

200409-surmonter-le-stress-du-confinement.jpgフランスでは3月16日の大統領によるテレビ演説以降、外出が大きく制限されている。photo : iStock

壁に八つ当たりしたり、窓や冷蔵庫をうっとり眺めたり、お向かいの庭に寝そべる猫に嫉妬の視線を送ったり。ESCPビジネススクールで社会心理学を教えるフィリップ・ガビエ教授によれば、そうした気分は極めて当たり前だという。「私たちはこんなふうに自由を奪われることに慣れていないのですから」。とはいえご心配なく。自宅にこもらなくてはならない時期のプレッシャーを緩和し、平穏な気持ちで暮らすためには、いくつかのコツがある。

1.現状を受け入れよう。

一時的とはいえ、自由に別れを告げるのは簡単なことではない。「受け入れる気持ちには段階があります。まず否定に始まり、次に怒りが来る。落胆の時期を経てやっと認めることができるのです」と前述のガビエは言う。

否定や怒りの段階は早く訪れるが、その後の段階は消化するのに時間がかかるし、飛び越すこともできない。「いま現在に集中し、その日その日を生きることがとても大切です。先々に起こる最悪の事態を想像することは避けなくてはいけません」と語るのは、精神科医で心理療法士のセリーヌ・トラン。毎日数分間、静かな部屋で瞑想を行い、「一息つき、さまざまな感情を調節する」ことをトランは勧める。

2.ルーティンを作ろう。

一人暮らしだったり子どもがいなかったりすると、朝寝坊したくなりがち。リモートワーク中でも目覚し時計を1時間遅らせるくらいなら問題ない、と考えてしまう。ところが、この考えは長期的な害を及ぼすことになりかねない。「週末は1週間の緊張を解き放つためにあります。いつもの習慣をそっちのけにして週末気分を引き伸ばせば、エネルギーのすべてが次第に抜けていってしまう危険があります」とガビエは警告する。

厳しくするという意味ではない。いつもと同じ時間に起床し、就寝すること。何事もなかったかのように、朝はきちんと服を着て、身繕いする(シャワーを浴びる、軽くメイクするなど)。「ルーティンは安心感を与え、自己制御できているという気持ちにしてくれます。現在のように、ストレスが避けられない前代未聞の状況に立ち向かうためにはその気持ちが必要なのです」とトランは付け加える。ルーティンは、低年齢の子どもたちにとっても大切だ。“家で学校のようにする”ことは、特に子どもたちにとって大切なルーティンの役割を果たす。

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3.他者との関係をコントロールしよう。

カップルや家族で暮らしていると、あるいはルームシェアしていると、自宅待機の期間に感情やフラストレーションが抑え難くなってくる。靴下が転がっていたり、食器が下げられていなかったり、各人のちょっとした悪癖が神経に触り、いきなり爆発してしまうことに。「(自宅待機の)1週目は慣らし期間。心を開いて何度でも話し合う機会を作り、それぞれが他の人に嫌な思いをさせないよう、自分を適応させましょう」とガビエは言う。

不安感についても同じことがいえる。「不安を言葉にするのはいいことですが、かといって、配偶者や子どもたちに何もかも吐露してしまうと、相手にも感情的な不安を伝染させてしまう恐れがあります」とトランは指摘する。ガビエのアドバイスはこうだ。「たとえば日誌をつけて、そこに気になることを書きつけることは心の負担を軽くする助けになります」

4.バーチャルな絆をキープしよう。

共同生活者がいない場合、強制的な孤独は精神にも重くのしかかってくる。「家族や友人たちとの絆を保つことがとにかく重要です」とトランは強調する。ショートメッセージ、電話、ビデオカンファレンスなど、他人と繋がる手段はたくさんある。あるいは、古い友人関係を発掘するのもいい。「病気療養中の友人は音信不通の友人のリストを作り、療養中の時間を使って探しました。結果、3分の2の旧友が見つかったのです」とガビエは言う。

利他主義も救いになる。隣人のために買い物をしてあげたり、医療関係者に激励の言葉を寄せたり、窓辺から拍手をしたりといった行動も、他者との絆を感じられるいい手段だ。トラン曰く、「助け合いや共感といった基本の価値観に立ち返ることは、自分たち自身の苦しみを忘れたり和らげたりする効果があるのです」

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5.話題を変えよう。

エレベーターで出会った隣人や、「オンライン飲み」の場では何を話題にする? 「難しいかもしれませんが、新型コロナウイルスの話ばかりしていては、不安を解消するどころか増長させてしまいます」とトラン。むしろ話題を変えて、次の誕生日パーティや夏のヴァカンスのプランを相談しよう。もっと直近のことなら、次に観る映画について話し合うのもいい。

6.スクリーンは控えめに。

テレビやインターネットで情報を得ることはもちろん必要だが、パニックを助長する大きな要因にもなる。「時間を無用に使ってしまわないために、画面を見るのは1日に20分程度に留めた方がいい」とガビエは進言する。「それよりいまは、新しい喜びを見つけ、気分転換できる習慣を始める時です」。手始めにストレッチを、続いて手を動かす作業を(料理や庭仕事)、あるいは知的活動(絵を描く、読書、外国語学習、楽器の演奏)を始めてみてはどうだろう。きっとスクリーンのことなど忘れてしまうはずだ。

万が一、知らぬ間に外出制限が終わっていても、窓の外に目をやればすぐに気づけます!

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texte : Tiphaine Honnet (madame.lefigaro.fr)

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