我慢も努力もいや! 5つのルールで賢く食べて健康に。

Culture 2020.04.11

「ヘルシー」を追い求め過ぎて、何を食べたらいいかわからなくなってしまった。選択肢は無数にあるのに、以前に比べて食事をすることが難しくなっている。栄養学者や栄養士だけでなく、教祖的存在のインフルエンサーまで現れて、それぞれが食に関する独自のメソッドを紹介する昨今。新しい現象なのかというと、そうでもない。

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食べ物といつも健康的に付き合うために、賢い食事の方法を身に付けよう。photo : iStock

「これまでの歴史上、さまざまな食のトレンドがありました」と語るのは、栄養学者で『Je mange sain, je maigris bien, le régime du chasseur-cueilleur du XXI e siècle(健康に食べながら痩せる。21世紀の狩猟採集民の食事法)』の著者、ロラン・シュヴァリエだ。「18世紀の人々は、その時の気分によって温かい食事を摂ったり、冷たい食事を摂ったりしていました。また、どんな宗教にも断食や禁忌などの食に関する習慣・規制があります。ですがそのどれにも科学的根拠はないのです」

では、なぜいま食事のことがこれほど議論されているのだろうか。

「コミュニケーション手段が多様化し、情報があふれています。メディアだけでなくさまざまな団体や個人が、矛盾する情報、ときには誤った情報を発信し不安を煽っているのです」と、同じく栄養学者で『La peur au ventre, pour que manger ne soit plus un cauchemdar(お腹が怖い。食べることはもう悪夢ではない)』の著者ジャン=ミシェル・コーエンは説明する。

健康な人生は健康な食事から、という現実と、理想を超えた幻想との間で板挟みの私たち。いまこそ良識を発揮して自分の感覚を取り戻し、食べる喜びという原点に立ち返ってみよう。

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1. 雑食に回帰する。

「人間はもともと何でも食べる生き物です。人類の活動領域が地球上で拡大していく過程で、食の幅が広がり、さまざまな食物の摂取が人間の身体に必要不可欠なものになりました」とシュヴァリエは言う。食物アレルギーなどの疾患がない限り、特定の食材を口にしない食事法には根拠がない。

1日に必要な栄養素をバランスよく摂取することに加えて「さまざまな食品を食べることは、一定の食材の過剰摂取によるリスクを減らすことにもなります」とコーエンは指摘する。世界保健機関(WHO)も特定の食品を禁じるのではなく、量を制限して調整することを勧めている。肉や魚、加工肉などの動物性タンパク質の摂取量を抑え、野菜を優先すべきという考えは、一般的に認められていることだろう。

2. 加工されていない食材を選ぶ。

「料理をする時間はないが、料理してもらう予算はある、と現代の消費者は考えています」と『Alimentation : stop à la désinformation !(食事:情報操作にストップ!)』の著者で生態学者のフレデリック・ドゥネーズは分析する。「食品加工技術が発達し、<超>加工食品も普及していますが、健康にとってよいものではありません」。添加物、質の悪い脂質や糖類の過剰摂取を避けるには、加工されていない食品を選ぶこと。地元農家が作るオーガニックなものならさらに安心だ。手間を極力抑えたいならば、皮のむかれた野菜や、食材宅配サービスを利用するという手もある。

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3. 食べることに意識を集中する。

食べることは本来、エネルギーと喜びを得るための本能的な行動だ。頭でっかちになってあれこれ考えがちな人は、いまこの瞬間を意識する、瞑想を応用した食事法を実践してみよう。やり方は至って簡単。犬のようにガツガツ食べるのではなく、ゆっくり時間をかけて味わって食べる、それだけだ。香り、食感、味に注意を向け、頭の中で感覚を描写しながらゆっくりとかみ砕く。こうすると食べ過ぎることがなくなり、お腹が空いた分だけ食べる習慣が身に付く。

4. 禁止することを禁止する。

イギリスのウェブサイト「Voucher Codes Pro」が2015年に実施した調査によると、イギリス人ベジタリアンの37.5%が、酒に酔うと肉を食べてしまうという。ダイエットや信念、主義のために特定の食材を食べないことが、どれだけストレスになっているかがわかる。

「食事から特定の食品を除外すると、栄養不足になるだけでなく心理的な不満も募ります。フラストレーションが溜まると、抑制が効かなくなった時に衝動的にたくさん食べてしまったり、摂食障害を誘発する危険性があります」と心理学者で栄養士、そして『Et si vous trouviez (enfin) votre poids idéal ?(<そろそろ>理想体重を手に入れませんか?)』の著者ロランス・オラは分析する。「食べる喜びを忘れず、その幸福を五感で感じることが大切です」

95%が失敗に終わるという食餌制限にはさようなら。何でも食べる、やっぱりこれがいちばんだ。

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5. 早めの夕飯を心がける。

食事のタイミングも体重調整に重要な役割を果たすようだ。サンディエゴにあるソーク研究所のサッチダナンダ・パンダ研究部長に聞いた。

「身体に12~16時間の休息を与えると、空腹時に分泌量が増加するホルモンが活性化します。たとえば成長ホルモンには、メタボリック症候群の原因となる炎症を抑える効果があり、睡眠ホルモンと呼ばれるメラトニンは、膵臓(すいぞう)を休ませる役割を担っています。また、夜間の絶食時間を長くすることで炭水化物の代わりに脂質が燃焼し始めます」。早い時間の夕食には、体脂肪を落とす効果があるということだ。

では、実際にはどうすれば効果的なのだろうか。「1日の最初の食事から最後の食事までを8~12時間以内にすべて済ませる、時間制限食事法を取り入れましょう。朝食を8時に摂ったら、20時には夕食を終える。もっと早い時間に摂れるならば、なおいいですね。断食時間が長ければ長いほど、脂肪は落ちます」とパンダは言う。

さらに、炭水化物が代謝されやすい時間帯は午前中。夜はでんぷんの摂取量を抑えて、タンパク質、野菜、少量の脂質を摂ることを勧めている。心配しなくても大丈夫、それでも12~16時間の夜間の絶食には十分耐えられるそうだ。

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texte : Caroline Henry (madame.lefigaro.fr)

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