パンデミックがあなたの夢に忍び込む時。

Culture 2020.04.12

外出制限が始まって以来、いつもとは違うタイプの夢をみる人がフランスで増えている。心理学者・精神分析学者に、ときに波乱万丈にもなりがちな夢の原因を解説してもらおう。

200410-mf-reves-01.jpg

あなたの夢にも、外出制限や外出自粛が影を落としているかもしれない。photo : iStock

フランスでは新型コロナウイルス感染対策として外出制限措置が発令された3月17日以降、荒唐無稽な夢や波乱に富んだ夢を見たというたくさんの証言がソーシャルネットワーク上に寄せられている。なかには現実に直結した夢も。たとえばツイッターには、「図書館に出かけようとして罰金を取られ、逃亡しようとしたが捕まって拘束された」夢を見たという女性の投稿が。また別の女性は、職場の上司と同僚が自宅に泊まりにくる夢を語っている。心理学者で精神分析学者のジェラール・パヴィが、こうした尋常ではない夢について解説する。

子どもの頃の不安感。

夢とはまず、「物事に何らかの意味を与えるために演じられたシナリオであり、無意識が作るものです」とパヴィは定義する。「夢は日常を反映します、つまりいま反映している日常、それがコロナウイルスだというわけです」。病院やウイルスの追跡劇が登場したり、手を洗う夢などを見ても、驚くには当たらないというわけだ。

こうした不穏な空気は子ども時代や思春期の不安感を思い起こさせる。私たちはみな、この時期の記憶、恐怖やトラウマの詰まったカバンのようなものを持っているのだという。「コロナウイルスにつながる外界の危険や、自宅待機の状態がカバンの中身を呼び起こしてしまいます。これらの記憶の鏡となり、不安が現実であり、的を射たものだという錯覚を与えてしまうのです」

感情的な人や過去にトラウマを持つ人、現実の恐怖を味わった人などは、夢に影響が出やすいという。

---fadeinpager---

ネガティブな感情を追い出す効果も。

私たちがいま体験しているのは不安な状況であり、1918年のスペイン風邪の世界的流行以来、類のないこと。ある意味、非現実的に感じることもある。パヴィは言う。「私たちは夢で見ることでこの懸念に適応し、夢のなかで語り直すことによって意味を与えているのです」。夢として見ることで、恐怖やネガティブな感情を頭から追い出してくれる効果もある。またこうした悪夢のなかには、「悪に対する正義の戦いの意味もあります。ウイルスという、外からの敵に対する戦いです」

「夢と距離を置きましょう」とパヴィは勧める。夢に心が乱されるなら、自分の精神状態を観察してみよう。「この空気のせいで、いったい何が不安なのだろう?と自問してみましょう」。夜、うなされてしまうのなら、寝る前にはコロナウイルス関連のニュースを見たり情報を調べたりすることは避け、「読書や、瞑想、ソフロロジー、ヨガなどを優先するのがいいでしょう」

パニックも無用。夢はどんなに荒唐無稽であっても、「自分が生きていて、物事を感じていることの証拠です」。悪夢がひどくなり、夜も眠れなくなり、頻繁に繰り返されるようにならない限り、心配はいらないとパヴィは語る。

もし日常生活に差し障りが出るようなら、専門家の扉を叩こう。

【関連記事】
自宅待機中も心の平穏を保つための、6つのアドバイス。
パートナーにムカムカ!しないための5つのヒント。
外出制限のフランス、アマンディーヌ・アルビッソンの過ごし方。

texte : Lisa Connan (madame.lefigaro.fr)

Share:
  • Twitter
  • Facebook
  • Pinterest

フィガロワインクラブ
Business with Attitude
キーワード別、2024年春夏ストリートスナップまとめ。
連載-パリジェンヌファイル

BRAND SPECIAL

Ranking

Find More Stories