Things to Do! 2020 大人だからこそ、学び直す。
Culture 2020.04.16
「人生100年時代」と言われる現代。働き方も多様化し、セカンドキャリアを意識する人も増えている。自分らしく生きるために、現在学び直し中の3人の女性に話を聞いた。
自分と社会の未来、いままでとこれからを“繋ぐ”学び直し。
毎日たくさんの課題があるので、課題図書を読んだり、レポートを書いたり、プレゼン資料を作ったり......。
美容ジャーナリストの鵜飼さんは、学び直しの真っ最中。「早稲田大学ビジネススクール(WBS)で、MBA取得のための勉強をしています。週4日、2年間かけて学ぶコース。課題やグループワークも多く、クラスメイトがクラス内の恋愛禁止を提案するくらい猛勉強の日々(笑)」。キャリアがあり、2児の母でもある鵜飼さんがどうしていま、あらためて学生の道を選んだのか。「40歳になったら、当時所属していた編集部を辞めようと思っていました。忙しい職業柄、つい自分のことを後回しにしがちだったのですが、自分と対話する時間が必要だなと。そんななかで興味が出てきたのは、美容マーケッターという仕事。エディターとしてモノを見てきた経験から、売れるモノやトレンドは感覚でなんとなくわかる。けれどもそれをロジカルに説明して、と言われたら? エディター経験を生かしマーケティングに携わりたい、と受験1カ月前に慌てて決意しました」。いま興味がある授業は、右脳について。「鎌倉での座禅や逆さ絵の模写をします。無意識に使っていた右脳を意識することで、物事の過程が一つ一つクリアになっていく気がするんです」。卒業後は、起業を考えているという鵜飼さん。「これまでは雑誌と読者を“繋ぐ”ことを仕事にしてきました。今後は、海外進出したいブランドを繋ぎ、企業と人の架け橋になりたい。多国籍なクラスメイトに刺激を受け、視点もグローバルに。いまは忙しいけれど、興味のあることがどんどん増えて充実しています」
鵜飼香子
美容ジャーナリスト
1976年生まれ。広告制作会社を経て、ビューティ誌の美容エディターに。その後、フリーランスの美容ジャーナリストとして、多数の媒体で執筆。現在は、早稲田大学ビジネススクールに通いながら、仕事に育児に奮闘中。
---fadeinpager---
学びは自分の世界を開き、人生が豊かになる。3度目の学び直しを計画中。
田原さんの学び直しは最初の転職からスタート。「当時からマーケティングに携わりたいと思っていたのですが、経験がなかったので早稲田大学ビジネススクール(WBS)の夜間コースを受講。念願のポジションチェンジも叶ったのですが、仕事を進めていくなかでブランドが注力していたマーケティング手法に疑問が出てくるようになりました。そのことをWBSの友人に相談したら、コミュニケーションディレクターの佐藤尚之さんが開かれている『さとなおオープンラボ』を紹介してもらって」。そこで学んだファンベースの考え方は、マーケティングの考え方を180度変えたという。「当時はまだ前職に就いていたのでまさかこういう日が来るとは思っていなかったのですが、いまはロイヤリティマーケティングというファンベースど真ん中の仕事ができています」。すでに2度の学び直しを経験した田原さん。今後のプランを聞くと「4月から産休と同時に主人の転勤先のNYに同行予定。いまは、サステイナブルとファッションに対する他国のマーケティングコミュニケーションに興味があり、育休中にニューヨーク州立ファッション工科大学(FIT)での短期講座を受けようかと。学びは自分の世界を開きます。すると仕事や人生がもっとおもしろくなるんです。だから私は学び続けるのかもしれません」
田原美穂
エイチ・アンド・エムヘネス・アンド・マウリッツ・ジャパン株式会社メディアマネージャー兼ロイヤリティプログラムマネージャー
1983年生まれ。日本銀行グローバルファイナンス部のアナリストとしてキャリアをスタート。英国での勤務も経験。その後、米ラグジュアリーブランドでのEコマース・デジタルマーケティング担当を経て、現職。
---fadeinpager---
家族の闘病をきっかけに見直したライフプラン、誰かに寄り添う知識と経験を習得。
アタッシェ・ドゥ・プレスの加藤さんは、2019年に世界で最も歴史のあるセラピスト団体、英国IFA認定のPEOTディプロマを取得。PRと並行して、国際セラピストとしての活動をスタートした。
使用する精油は150種類以上。肌質や体質、年齢に合わせて選び、用途に合わせた濃度でブレンド。
「きっかけは、母の闘病。闘病中の当事者はもちろん、ケアで消耗する家族にも、医療以外に助けになるものがあったらと思っていました。イギリスの薬草園に行った時、そこではハーブやエッセンシャルオイルがもっと身近で、病院や薬に代わる第3の選択肢として人々の生活に根付いていたんです。その事実を知り、同じような思いを抱える人の選択肢を増やせたら......と勉強をはじめました」。そこからは、即行動に移したという加藤さん。「まず、IFAの受験資格を得るために学校に通いました。座学とは別に、60件のカウンセリングとその症例を集めたレポート提出も卒業条件のひとつ。論文や精油を使った製品を作る様子を収めた動画審査、製品を本国に送り審査を受けるテストもあります」。資格保持者は医療従事者や経験者が大部分だというが、最短1年で見事試験にパス。「今後はPRの仕事と並行しながら、自分にできることをやっていきたいと思っています。どちらも共通して大切にしているのは、人と真摯に向き合うこと。現在は、米国カリフォルニア州のPIA主宰C.シュナウベルト博士のもとで、学びを続けています」
フランキンセンスをベースにしたエッセンシャルオイルのワークショップを開催。
加藤広美
アタッシェ・ドゥ・プレス/精油療法士・IFA認定国際PEOTセラピスト
1977年生まれ。ファッションや雑貨、個性のある小さなショップなど、さまざまなブランドのPRとブランディングを担当。ライフワークは、旅。最近は、フランキンセンスの群生地を訪ねるオマーンへのフィールドワークに。
interview et texte : SAYA YONEKURA