いまという時代を映す、P・オースターのビターな物語。

Culture 2020.05.03

オースターが描く、現在進行形の再生の物語。

『サンセット・パーク』

2004xx-livre-03.jpg

ポール・オースター著 柴田元幸訳 新潮社刊 ¥2,420

大不況で家を追われた人たちが捨てていった物の写真を撮っていたマイルズは、霊園外れの廃墟に住み着いた仲間たちに加わることになる。偏屈なドラマーのピング、画家志望のエレン、高学歴プアのアリス、経済的な不安と人生の挫折感を抱えた彼らの葛藤をそれぞれの視点で描く。偶然の出来事が過去と未来を結びつけるが、希望は唐突に打ち切られる。ブルックリンが舞台のオースターの作品の中でも後味はほろ苦く鮮烈で、いまという時代を映し出す。

*「フィガロジャポン」2020年5月号より抜粋

【関連記事】
愚か者のダメな日常がいとおしい、ソーンダーズ短編集。
ちっとも惑いがなくならない40代に贈るエッセイ。

réalisation : HARUMI TAKI

Share:
  • Twitter
  • Facebook
  • Pinterest

フィガロワインクラブ
Business with Attitude
パリとバレエとオペラ座と
世界は愉快

BRAND SPECIAL

Ranking

Find More Stories