ユペール主演、ポルトガルの古都が舞台の「家族劇」。

Culture 2020.05.21

避暑地ののどかな風光が、気高さを帯びるひととき。

『ポルトガル、夏の終わり』

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ペーナ宮殿、リンゴの浜、赤い路面電車。ポルトガルの古都シントラの歴史的景観を生かした、風通しのいい佳品だ。「家族旅行」という名目で世界的女優フランキーが企てた1日が、夫婦、親子のいざこざや恋の駆け引きが混線するエリック・ロメール流の会話劇として展開。旅は近親者を操る女優の気まぐれな計略か。だが、ひそかに死期を自覚したフランキーは、紫の衣装をオレンジ色に着替え、夕刻の海に臨む。イザベル・ユペールが纏う残光に吸い寄せられるように、めいめいが高台を目指す。なだらかな稜線が香気を放つよう。

『ポルトガル、夏の終わり』
監督・共同脚本/アイラ・サックス 
2019年、フランス・ポルトガル映画 100分
配給/ギャガ
Bunkamuraル・シネマほか全国にて近日公開
※公開予定については、公式サイトをご確認ください。
https://gaga.ne.jp/portugal

*「フィガロジャポン」2020年6月号より抜粋

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réalisation : TAKASHI GOTO

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