おかしくて切ない父娘の交流を描く『サンダーロード』

Culture 2020.07.03

長ぜりふと長回しが醸す、南部警官と幼い娘の交情。

『サンダーロード』

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母の葬儀の挨拶で、テキサスの警官ジムは母が愛した歌に乗って踊る。場が持たずに、幼い娘が見ちゃいられなくなる。この冒頭の泣き笑いが、お人好しなのに逆上しやすい公私こじれぎみのジムと、親権問題ゆえに会いづらいおしゃまな娘の交流記の色合いをなす。「せっせっせー」の手遊びがふたりの伝心手段だ。主演、音楽もこなす新鋭監督が破綻寸前の父娘を導く急な局面に、ラジカセが壊れて冒頭は無音だったブルース・スプリングスティーンの「涙のサンダーロード」が連動。南部の憂愁が、涙を透かして晴れやかに一新する。

サンダーロード
監督・脚本/ジム・カミングス
2018年、アメリカ映画 92分
配給/ブロードウェイ
新宿武蔵野館ほか全国にて公開中
https://thunder-road.net-broadway.com

●新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止により、公開時期が変更となる場合があります。最新の情報は各作品のHPをご確認ください。

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*「フィガロジャポン」2020年7月号より抜粋

réalisation : TAKASHI GOTO

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