インスタフィードがモノクロセルフィーであふれた理由。

Culture 2020.08.04

7月27日、新たなバイラルチャレンジ(*)「Women Supporting Women challenge」がインスタグラムを席巻した。一般人もセレブリティも積極的に参加し、モノクロセルフィーを次々に投稿している。いったい何のために? そのことを知る鍵はトルコにある。

200804-eva-longoria.jpg

女優エヴァ・ロンゴリアは「Women Supporting Women challenge」に参加。(2020年7月27日、Instagramに投稿)@evalongoria / Instagram

7月27日、あなたのインスタグラムのフィードはモノクロ写真で埋め尽くされたのではないだろうか。女性たちが互いに助け合うことを励ますバイラルチャレンジ「Women Supporting Women challenge」はSNS上で急速に拡大している。

その方法はいたって簡単だ。知り合いの女性がインスタグラム上であなたに個人宛の短いメッセージを送る。「いまインスタグラムで話題になっているエンパワーメントを応援するチャレンジがあるの。私はこのテーマに合った人をよく考えて選んでこのメッセージを送っているわ。そして、最も重要なポイントとして、自分の価値観や世界観をシェアできる女性たちを選んでいるのよ。あなたはすごくカッコよくて素敵! そう、あなたは私が選んだ女性のひとり。モノクロのセルフィーを投稿し、キャプションには“challenge accepted”と書き、私の名前にも言及してね。プライベートでの付き合いのある50人の女性に同じことをしてみて。あなたが美しく、強くて、素晴らしいから、私はあなたを選んだのよ。お互い愛を分かち合いましょう!」

*バイラルチャレンジ:SNSなどを通じて人から人へ伝播し急速に広まっていくキャンペーン。

---fadeinpager---

フェミサイド(女性を標的にした殺人)に対抗して。

世の中に警告を発するチャレンジがインスタグラムにあふれかえるのは今回が初めてではない。2016年、今回と同様のハッシュタグ#challenceacceptedの付いたモノクロ写真が、ガンとの闘いに立ち向かうことを目的として広がった。さらに20年6月2日、ブラック・ライブズ・マター(Black Lives Matters)を支持するため、多くのインスタグラムユーザーたちがブラックアウト・チューズデー(Blackout Tuesday)に真っ暗な画像を投稿した。そして今回、新たな“チャレンジ”がどこから始まったかが判明した。

インスタグラムの広報担当者は「ニューヨークタイムズ」のインタビューを受け、最初の画像はブラジルの有名ジャーナリスト、アナ・ポーラ・パドラオが7月18日に投稿したと語った。7月29日、実は彼女はトルコ出身であることがわかった。ちょうどその頃、トルコでは、国内のフェミサイド被害者たちを支援するため、多くの女性たちがセルフィーを共有し始めていたのだ。

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

Manic Pixie Dream Boy(@beelzeboobz)がシェアした投稿 -


この投稿には英語でこう書かれている。「トルコ人ではない多くの友人たちが、“チャレンジ”と銘打ってモノクロセルフィーをシェアしているのを見かけますが、チャレンジの理由や由来を知ることなく行なっているように感じています。だから少しだけ皆さんに知ってほしいことを綴ります。今回のムーブメントをサポートしたいと思うのであれば、この情報をシェアしてください。そうすればメッセージは本来の意味から外れることなく、チャレンジの意味を失うことはありません」

「ハーパース・バザー」のサイトでは、SNS上で広くシェアされているトルコ人ユーザー@beelzeboobzのインスタグラムアカウントが紹介する情報を載せている。そのアカウントによれば、19年には少なくとも500人の女性が身近な男性からの暴力によって亡くなった可能性があるという。女性たちが立ち上げた地元メディアでは被害者のモノクロのポートレイトを見ることができる。7月21日、元交際相手に殺害され、遺体が発見された27歳のピナー・グルテキンのことも同アカウントで紹介されている。

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

Manic Pixie Dream Boy(@beelzeboobz)がシェアした投稿 -

 

---fadeinpager---

本当の意味を知らない人々。

ハッシュタグ#womensupportingwomenは850万回以上使用され、#challengeacceptedは650万回以上使用されている。アメリカでは、ナタリー・ポートマン、ダイアン・クルーガー、ジェニファー・ガーナー、ジェニファー・ロペスなど、多くのセレブリティが参加した。

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

Diane Kruger(@dianekruger)がシェアした投稿 -

 

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

Jennifer Garner(@jennifer.garner)がシェアした投稿 -

 

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

Jennifer Lopez(@jlo)がシェアした投稿 -

 

---fadeinpager---

別の理由で写真をシェア。

本当の意味は知らないけれど別の理由で投稿し、このようにコメントした人もいる。「正直なところ、この#challengeacceptedの背景をよくわかっていないの。でも私たちは皆、女性たちをサポートする正当な理由が好きよ」と、ドラマ「フレンズ」で有名なジェニファー・アニストンはモノクロセルフィーの下にコメントした。

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

Jennifer Aniston(@jenniferaniston)がシェアした投稿 -


そしてジェニファーは次のように付け加えた。「おそらく女性をサポートするための最良の方法は、選挙に参加し、女性に影響を与えるあらゆる問題と戦うこと」

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

Brit Marling(@britmarling)がシェアした投稿 -


いっぽう、女優でありTVドラマシリーズ「The OA」(16年/Netflixで視聴可能)の共同制作者でもあるブリット・マーリングは、3月13日にアメリカ警官によって殺害された26歳の女性、ブレナ・テイラーのモノクロセルフィーを投稿した。ブリットは、一度も逮捕されたことのないブレナの名前を引用し、ファンに対して「当局に公正を求めましょう。沈黙を守る人々の側に立って戦うため、集団となり、声をあげる時、女性はとても力強くなれます」と訴えた。

いま女性たちはインスタグラムを通じて自らの意見を発し、写真イメージを活用しているのだ。

【関連記事】
誕生から10年、インスタは世界をどう変えた?

texte : Pascaline Potdevin (madame.lefigaro.fr), traduction : Hanae Yamaguchi

Share:
  • Twitter
  • Facebook
  • Pinterest

フィガロワインクラブ
Business with Attitude
キーワード別、2024年春夏ストリートスナップまとめ。
連載-パリジェンヌファイル

BRAND SPECIAL

Ranking

Find More Stories