多部未華子主演、女性の心の機微を描く『空に住む』。
Culture 2020.12.11
街を身ひとつで漂泊する、ふんわり艶やかな女性映画。
『空に住む』
多部未華子扮する直実は28歳の文芸編集者。時のスター俳優、時戸森則(岩田剛典)と高級マンションのエレベーターで彼女が出くわす——設定はベタだが、青山真治の演出は針の穴を通すように注意深く、きめ細かい。漠とした喪失感を忘れる情事への惑溺(わくでき)を直実は紙一重でこらえ、醜聞まみれの売れっ子にも自身にも救いをもたらす。勤め先の弱小出版社が郊外の古民家で、叔父を頼って移り住むのが湾岸タワーマンションの高層階。2空間の和洋・高低の対照性が映画の興を高める。独立独歩の黒猫ハルの名パートナーぶりも秀逸!
*「フィガロジャポン」2020年12月号より抜粋
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