「家ごもり」が体に及ぼす、恐ろしい影響とは?

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緊急事態宣言、テレワークの推奨...。新型コロナウイルスの感染拡大で環境がガラリと変わり、気がつくと家を出ることがほとんどなくなったという人もいるのではないだろうか。 フランスでも夜間外出禁止令が始まって以来、朝から晩まで家にいるという人も多いようだ。しかし、一日中家にこもっていることで、体や頭に悪影響を及ぼすこともある。今回はそれについて説明しよう。

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午後6時以降は夜間外出禁止令が敷かれ、テレワークと寒さもあり、家から全く出なくなる。この悪習慣が悪い影響を引き起こさないわけがない。photo: iStock

テレワークの日々、午後6時30分にパソコンからようやく離れる。フランスでは午後6時には夜間外出禁止令が始まってしまうため、屋外でのトレーニングしたいと思っても時間が足りないし、食材の買い出しにも出かけられない。一日を振り返ると、今日も一度も外に出なかったことにふと気づく。

心臓の専門医で栄養士のフレデリック・サルドマン医師は、「心身の健康を保つためには、体を動かす必要があります」と語る。モチベーションが上がらなくても、移動して新鮮な空気を吸うことが不可欠だ。というのも、1日中家に思わぬリスクにさらされる可能性があるからだ。早速、具体例を挙げてみよう。

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体調が崩れる

私たちは家にいる時、ほとんど動かない。自宅のオフィススペースのほか、たまにベッドの上でもテレワークをしてしまうことだってある。

新型コロナウィルスのパンデミックに伴い、座り姿勢中心の生活が深刻な社会問題となっている。「1日30分の運動をすれば、ガン・心血管疾患・アルツハイマー病のリスクを40%減らすことができることがわかっています」とサルドマン医師。運動することは病気から身を守ることにつながり、さらにウェルビーイングをつかさどる神経伝達物質、エンドルフィンを分泌する。そして免疫システムを向上させ、全ての感染症から体を守るのに役立つという。

さらに家にずっとこもっていると体重増加のリスクがあり、体力にも影響がある。「食事はいつも通り食べているのに全く動かないため、体重が増えるのです」とサルドマン医師は説明する。不安が充満する今の時代、それを和らげるため間食する傾向にある人、さらにストレスと不安解消のため、普段よりも買いだめしてしまい人も多く、自制もしにくい。

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睡眠障害

「私たちは自然と外出しなくなる傾向があるが、その傾向は打破しなければなりません」–フィリップ・ボーリュー医師

「夜間外出禁止令とテレワークにより、睡眠を促進する自然光を浴び、身体活動をする機会が失われています」と話すのは、睡眠の専門医であり、『Dormir sans tisane ni médocs(ハーブティーや薬なしで眠る)(1)』の著者でもあるフィリップ・ボーリュー医師。

日中、室内の照明では浴びる光の量は十分でなく、朝のうちに自然光を浴びないと体は眠りの指標を失ってしまう。その結果、ただの不眠症から、寝つきや目覚めが悪い状態が慢性的に続く睡眠相後退症候群に至るまで、睡眠障害が現れる可能性がある。そこから「無気力の悪循環」に入ってしまうと医師は指摘する。言い換えれば、活動量が減れば減るほど、やる気がなくなってしまうということだ。

「私たちは自然と外出しなくなる傾向があるが、その傾向を打破しなければなりません。重要なのは流れに身を任せるのではなく、決まったスケジュールにそって生活することです。眠りの質が低下し始めると、感情を処理し、問題を管理することが適切にできなくなり、精神状態が悪化してしまいます」とボーリュー医師はアドバイスする。

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絶え間ない反すう

自宅にいると、自分自身の思考に一人で向き合い、それは多かれ少なかれ害を及ぼす。社会心理学研究者であるクリストフ・ハーグ氏(2)は、「四方の壁に閉じ込められると、私たちは考えすぎてしまい、否定的な思考がまるで壊れたレコードのように脳内でループし続けます」と分析する。これらの悲観的な思考は、頭から離れなくなり、脳の余裕がなくなってしまう。そして個人を圧迫し、うつ病につながるリスクがある。

外出しないことにより、一層退屈な気持ちが募り、単調で面白くない人生を送っているように感じてしまう。「退屈は良いことであり、内省を通して自分自身についてもっと学ぶことができますが、その期間が長すぎると悪い方向に進みます」とハーグ氏は述べる。この長期間に及ぶ退屈な感情は、よくない癖を誘発する可能性もあり、人によっては爪を噛んだり、皮膚を剥いたり、眉毛を脱いたりする。また、怠惰な生活を補うために食に走って摂食障害が起こる可能性さえある。

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社会的拒絶

「孤独は健康に悪いのです」−フレデリック・サルドマン医師

自宅にいると、まるで自分が拒絶されて、他人から追放されているような、人間としての最大の恐怖を感じることがある。「心理的な健康状態を保つためには、人に囲まれて、人と交わる必要があります。孤独は健康を害するのです」とサルドマン医師は述べる。社会的に孤立すると、痛みが与えられた時と同じ脳の領域が活性化される。したがって、長期間一人でいることは、肉体的苦痛を実際に受けることに近いのだ。

そして私たちは、悲しみから挫折、怒り、絶望までありとあらゆるネガティブな感情を覚える。「これらの感情は、体と脳にかなりのエネルギーを消費させ、私たちを永続的なストレス状態に陥れます」とクリストフ・ハーグ氏は断言する。さらに長期に及ぶと、自尊心を傷つける恐れもある。社会心理学研究者のハーグ氏は、「自分自身に向き合い、自分自身をもっと見つめることで欠点が一層浮き彫りになってしまうのです」と言う。

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心身の健康を守るためには、生活のリズムを保つことが大切だ。日の光をできるだけ浴びるため1日1時間は外に出たり、士気を高めるために日光浴をしたりしよう。そして、1日30分〜1時間程度のウォーキングでもよい、とにかく運動する習慣をつけよう。

(1) フィリップ・ボーリュー、オリヴィエ・パランカ、『Dormir sans tisanes ni médocs』、(Marabout刊、19.90ユーロ)

(2)クリストフ・ハーグ、『La contagion émotionnelle』、(AlbinMichel刊、21.90ユーロ)

texte : Louise Ginies (madame.lefigaro.fr), traduction : Hanae Yamaguchi

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