マッチングアプリ狂騒曲 マッチングが止まらない! 36歳女性の正体とは?

Culture 2021.05.22

馬越ありさ

門戸を広く開け放っているマッチングアプリでも、男女とも30代後半になるとなかなか出会いに辿り着くまで厳しい……という現実があるようです。その中で、35歳を超えてなお、多くの男性とマッチングに成功している女性がいました。彼女はどのようにアプリを活用しているのでしょうか? マッチングアプリを通じて見えた悲喜劇を、ライターの馬越ありさが綴ります。

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画像はイメージ。photo:iStock_FreshSplash

志保さん(36歳)会社経営者の場合

「35歳を超えてもモテる秘訣ですか? ……うーん、なんでしょうね?」

そう言ってトボけてみせる志保さんは、36歳でもツヤツヤの肌と黒髪のロングヘアが似合う、ヘルシー系の美女だ。くすみのない白い歯は、美意識の高さをうかがわせる。もう少し迫力があればミスコンに出ていそうなタイプだが、アクのなさが男性ウケに繋がっているのだろう。それでいて野暮ったさはなく、サマーウールのセットアップを、スニーカーとウェットスーツの素材でできたバッグというスタイルで着崩している。

自ら“外見です”と言わない謙虚さがモテる秘訣かと思いきや、志保さんは意外な言葉を続けた。

「しいて言えば、会社を経営し始めてから、男性に興味を持ってもらえることが増えた気がします」

父親の仕事の関係で高校までをアメリカで過ごし、帰国子女が多い大学へ入学。卒業後はコンサルティング会社に進んだそうだ。

「私の世代は、入社してすぐにリーマンショック、その後に震災と、市況的に厳しい環境でした。頭の回転が速く、体力もある男性の中で生き残るのに必死で。それなのに、男性パートナーとのありもしない噂をたてられて。女だからひいきされてるって言わるのが悔しくて、社内では一切の隙を見せないようにかたくなになっていました」

きれいな女性ならではの悩みもあるようだ。必要以上に守りを固くしていたせいもあり社内恋愛をすることもなく、かといって合コンに行く余力のある20代ではなかったという。

「資料の詰まったキャリーケースを持って合コンに行く男性社員のバイタリティを、もはや尊敬していました」

こういったセリフも、志保さんが言うと嫌味や僻みを微塵も感じさせないから不思議だ。その余裕が色気として昇華されているのだろう。しかし、その余裕を身につけるまでには、相当な苦労があったようだ。

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色気のある30代を迎えるためには?

「30歳を過ぎてマネージャーに昇格した頃、ストレス性の病気を発症してしまって……。それまでは、自分の能力のなさを補うためなら、無理をするのが当たり前だと思っていたのですが、改めて自分の身体を大切にしなきゃと省みました。休職せざるを得なくなり、その間に食生活や運動などを学んでいるうちに、その方面にハマってしまって。コンサルの仕事をしている時も、いつか実業に携わりたいと思っていたので、小さな事業でも良いから自分のペースでやろうと思ったんです」

そうして、トレーニングジムの運営を開始。しかし、士業の先生や業者をゼロから開拓するのが大変で、会社員時代のように守りを固くしていられなくなったという。

「経営者の集まりに積極的に参加したり、展示会で仲良くなった同業者の方と情報交換したり。なかには、あわよくば……という人もいたけれど、上手くあしらう術も身につけましたね。意外なことに、経営者や先生と呼ばれるいわゆるハイスペックな男性は、女性社長という肩書に引け目を感じず、むしろ人として興味を持ってくれる方が多かったんです。共通の話題や悩みもあるので、自然とお食事に行く機会も増えました」

しかし、事業が軌道に乗るまでは、恋愛モードになれなかったという志保さん。3期目にして、ようやくプライベートも充実させたいと思っている時に、コロナ禍になってしまったという。

「初めは知り合いを増やしたいと思って、マッチングアプリに登録してみたんです」

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35歳を超えてもマッチングできる理由とは?

マッチングした男性のプロフィールを見てみると、一流企業勤務のサラリーマンが多くて驚いたそうだ。

「10人くらいとお会いしたのですが、いつかは起業したいと思っている方が多かったですね。みんな、珍しい経験をしている人の話を聞きたいんだなって。私も、大手企業を辞める時に不安がなかったわけではないので、少しでも役に立つ話ができればと思いました」

時には、就活のOB訪問を受けているような気分になることもあったというが、新鮮な視点も得られ、大学生の時に数回行ったという合コンよりも、実のある時間を過ごせたという。

「本当は、男女関係に発展しなくて落ち込むべきなのかもしれないんですけど……。私も、そろそろ人の役に立つ側の人間でありたいと思っていたので、むしろうれしかったです」

モテてこなくて独身、というコンプレックスがないからこそ、なせる業だ。志保さんからは、婚活に取りつかれた女が放つ悲壮感はまったく感じられない。その余裕が色気となり、モテに繋がっているのだろう。

「いまの彼は、以前、経営者の集まりで知り合った人なんです。当時は、お互い仕事が忙しくて疎遠になっていたのですが、マッチングアプリで再会した感じで。」

年齢を重ねても、希少性のあるスペックと精神的な余裕があれば、魅力的でいられると勇気づけられる女性だった。

次回は5月29日公開予定

馬越ありさ

東京都出身。慶應義塾大学を卒業後、メーカーで販売促進に従事しつつ、ライターとしても活動。

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