注目の作家リー・キットが、原美術館で新作を発表。

特集

烈しい感情から距離を置く、リー・キットの抑制された表現。

リー・キット『僕らはもっと繊細だった。』

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2013年にヴェネツィアビエンナーレで注目を浴び、アジアのアートを牽引するリー・キット。現在は台北に拠点を移し、中国への返還後の揺れ動く故郷・香港と距離を取りながら、世界と向き合う創作活動を続ける。

近年のインスタレーションでは、絵画やドローイング、プロジェクターの映像と明かり、家具や日用品を独特の手つきで配置。ペールトーンの色彩に覆われた絵画的な空気感はほのかに示唆的で、孤独や不安のひとはけが、微かに漏れる息遣いのような抑制の利いた慎重さをもって施されている。現代のアートシーンには社会的・政治的状況をあからさまに扱う作品があふれているが、リーは異質のアプローチで自身の問題に立ち向かう。祖国から距離を置く彼にとって、最重要課題である政治的であり続けることとは、日常の物事にどう対峙するかということであり、「政治に向き合う必要がなくなる日まで自分自身と外界に向かってリマインドし続ける」(リー)ことにある。その淡い色調に包まれたアンニュイな空間と裏腹に、リーの最大のモチベーションは「怒り」にあるが、その烈しい感情からさえ距離を置き、観る者に「シェア」を強要しない。彼が自身の創作をコンサート会場に喩えるように、実際に展示空間に足を運ぶ時に初めて、私たちは作家が身を置く社会的・政治的状況と人々の記憶の投影を目の当たりにするのだ。

リー・キットの芸術的姿勢が共感を呼ぶ理由のひとつは、小説や音楽にも似たような、謙虚で親密でありながらもテンションを緩めない、この間接的な表現の妙にある。

リー・キット『僕らはもっと繊細だった。』
会期:開催中〜2018年12月24日
原美術館(東京・品川)
営)11時〜17時(水は〜20時)
休)月(12/24は開館)
一般¥1,100


●問い合わせ先:
tel:03-3445-0651
www.haramuseum.or.jp

※『フィガロジャポン』11月号より抜粋

réalisation : CHIE SUMIYOSHI

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