京橋の歴史ある美術館が、名称も新たに生まれ変わる。

Culture 2020.01.30

美術史を「水平」「垂直」に眺める視点。

開館記念展『見えてくる光景 コレクションの現在地』

art-01-1-200120.jpg

新しく収蔵されたコレクションとして今回初公開される作品。ヴァシリー・カンディンスキー『自らが輝く』1924年。石橋財団アーティゾン美術館蔵

art-01-2-200120.jpg

メアリー・カサット『日光浴(浴後)』1901年。石橋財団アーティゾン美術館蔵

1952年創設の旧ブリヂストン美術館がアーティゾン美術館と改名し、遂にオープンを迎えた。真新しい空間は温かみのある素材や落ち着いた照明が美しく、じっくり腰を据えたくなる設えだ。開館記念展では、同館のコレクションを二部構成で紹介。石橋財団は美術館休館中もコレクションの幅を広げてきた。本展でお披露目となる31点の新収蔵作品のなかでも、ベルト・モリゾ、メアリー・カサットという、近代美術の奔流に紛れてなかなか光が当たりにくい成熟した女性画家の名作に注目したい。第1部「アートをひろげる」では、マネからスーラージュまで約140年間の美術史を「水平に」見渡し、時空間を超えた美術の風景を一望する。第2部「アートをさぐる」では、同じ近現代美術史に「垂直に」杭を打ち込み、地層を切り取るようにして、あらゆる人間の営みに普遍的ともいえる装飾、古典、原始、異界、聖俗、記録、幸福の7つのテーマから美術を掘り下げる。

今後は現代美術の作家にもフォーカスする展覧会も目白押しだ。4月からはジャム・セッションと題し、コレクションと現代作家・鴻池朋子の対話を試みる。同時開催で、昨年のヴェネツィア・ビエンナーレ国際美術展日本館展示の帰国展も予定される。歴史ある大人の街・京橋界隈から発信される芸術潮流がアジアのアートシーンにどう働きかけるのか、今後の活動に期待が高まる。

開館記念展『見えてくる光景 コレクションの現在地』
会期:開催中~3/31
アーティゾン美術館(東京・京橋)
営)10時~18時(金は~20時)
休)月(2/24は開館)、2/25
一般¥1,100(オンライン予約時) 

●問い合わせ先:
tel:03-5777-8600(ハローダイヤル) 
www.artizon.museum

【関連記事】
美しい譜面を、人体に手書きする作曲家の写真展。ヤコポ バボーニ スキリンジ展『Bodyscore - the soul signature』
AI時代のアートやデザイン、建築はどうなる?『未来と芸術展:AI、ロボット、都市、生命――人は明日どう生きるのか』

※『フィガロジャポン』2020年3月号より抜粋

※この記事に記載している価格は、標準税率10%の税込価格です。

réalisation : CHIE SUMIYOSHI

Share:
  • Twitter
  • Facebook
  • Pinterest

フィガロワインクラブ
Business with Attitude
パリとバレエとオペラ座と
世界は愉快

BRAND SPECIAL

Ranking

Find More Stories