ムスリムモデル、ハリマ・アデンの快進撃に注目。
Fashion 2017.06.29
"多様性"がキーワードとなっているファッション界で、いま注目のモデルのひとりなのがケニア出身の19歳、ハリマ・アデンだ。ムスリムである彼女は、イスラム教徒の女性が身につける"ヒジャブ"を必ず着用することでも知られる。
今年2月のニューヨークファッションウィークで、カニエ・ウェストによるYeezyのショーでランウェイデビューを果たして以来、業界で最も需要が高いモデルのひとりに躍り出ている。
そのハリマは、8歳になってからずっとヒジャブを着ているそうだが、それは単に彼女の信仰を象徴するだけではないと強調する。
「ヒジャブを着るのは、自分の信仰する宗教をどう解釈しているかの表れよ。でも、ヒジャブを着ない選択をするムスリム女性もいて、人はそのことをつい忘れがちね」と、表紙を飾った『Allure』誌最新号のインタビューでハリマは語っている。
「社会は若い女性に対し、外見に基準を押しつけ過ぎるわね。私という人間には、見た目以上に価値がある部分がたくさんあるはずよ。私にとってヒジャブは、"君はやせ過ぎ"あるいは"君は太り過ぎ"とか"彼女のお尻を見てみろよ"って、心ないことを言われないようにするための、いわば身を守るものなの」
今年春に開催されたミラノ秋冬コレクションでも、マックスマーラやアルベルタ フェレッティのランウェイを歩いたハリマ。彼女の人気上昇とともに、ヒジャブに対する関心もファッション業界全体で高まり、ナイキがこの3月に初の「ハイパーフォマンス・ヒジャブ」をリリースしているほか、H&Mやドルチェ&ガッバーナなどが、ハリマ以外にもヒジャブを着用するモデルを広告キャンペーンに起用するケースも目立ってきた。
ハリマはケニアの難民キャンプで生まれ、6歳の時にアメリカに移住。子どもの頃に宗教を理由にいじめられた経験があっても、一貫してヒジャブを着続けてきた。
「ヒジャブを着ない友人もいたけれど、彼女たちもいじめを受けていたわ。野蛮な雰囲気が漂ってて、本当に辛い時期だった。誰もが、意地悪く振るまおうとしたものよ」
「誰かがあなたを快く思わず、いじめの標的にしようとすれば、何を着ていてもいじめようとするでしょう。でも、私は自分を標的にしようとする人を恐れて臆病になったりはせず、毎日を淡々と過ごしたわ」
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