言葉を纏う、ヴァレンティノの広告キャンペーン。

シーズンの始まりに各メゾンで展開される広告キャンペーンは、最先端モードを提示するだけでなく、時代の顔や世相を反映し、多様性が認められ、インクルーシブな世界への願いを表現するもの。そして、メゾン ヴァレンティノは、春の新広告キャンペーンにおいて、文学界を迎え入れた。

©︎Elif Shafak × Valentino Collezione Milano Creative Director Pierpaolo Piccioli

「物理的に離れているからといって愛する場所をあきらめたりはしない。スーツケースに夢のかけらや大切なものを詰めて、私たちは故郷をつれていく」エリフ・シャファク

「アイデンティティのコンビネーションである、すべての人という考え方が好きです。ルーツでありアイデンティティでもある、異なるカルチャーを受け入れるのが好きなのです。それは人間であり、あなたです。あなたの多様性であり、あなたの表現なのです」とクリエイティブディレクターのピエールパオロ・ピッチョーリは伝える。

このプロジェクトにおいて、ファッションにおけるコミュニケーションの在り方に挑戦するため、ピッチョーリは著名作家たちを招き、強いインパクトを放つテキストのみで構成されたキャンペーンを作り上げた。視覚的なイメージだけでなく、多様な言葉や感情、信念によって見る人の心を豊かにし、コレクションを物語る、新しいコミュニケーションの方法だ。

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ここで表現されているのは、ジャンルにとらわれない世界。ドナ・タート、エリフ・シャファ、ジャネット・モック、リサ・タッデオ、マシュー・ロペス、オーシャン・ヴオン、イルサ・デイリー・ワードといった作家や詩人たちが、想像上のラブレターとミステリアスなフレーズを用いて自身の世界を創造する。わずか1ページ、されど深淵な物語は、自由な考えや言葉の力という重要なテーマを共有する。それはメゾン ヴァレンティノが大切にする価値の根底にあるもの。

ピッチョーリはこう語る。「詩は言葉を視覚化し、自分の感情やビジョンを伝えることができます。私たちを人間たらしめるものであり、また心の内側を探索することも許すものです。それはひとつのレンズをもたらし、それによって私たちのもっとも私的な感情に触れることができるのです」

©︎Yrsa Daley-Ward × Valentino Collezione Milano Creative Director Pierpaolo Piccioli

「あらゆるところに存在する愛。そのすべては行間に潜んでいる。夕暮れから真っ赤に燃えるような夕焼けにかけて、に書かれた、更けてゆく夜の冷たく香しいバイオレットを背景に金色に輝く熱く退廃的な光の筋が描かれた夕暮れ。こうして私はヴァレンティノという私自身の体を身につける。あなたの目の奥に深く愛しい光景を焼き付けて。」イルサ・デイリー・ワード

Janet Mock × Valentino Collezione Milano Creative Director Pierpaolo Piccioli

「よろいとしての女性らしさ」
女性らしさは神聖なだけでなく、必要なものである。特に危険な場所を進もうとする女性にとって、女性らしさは鎧である。
私たちのカルチャーは女性らしさを軽薄なものとして、そして女性らしさに傾倒する人を表面的で不真面目だとして追放しようとする。女性らしさは弱さではない。それはパワフルなのだ。
私は私を飾り立てるものからパワーを引き出し、取り入れる。口紅やマスカラは、私にとって戦いに出るためのペイント。ネックレスやバングルは私の鎧の装飾だ。体の上を波打つようなヴァレンティノガウンとVロゴのコンバットブーツ。望むものを身につけるとき、私は力で満たされる。
私が身につけるものには目的がある。というのも私自身が目的を持っているからだ。身につけるものはすべて私のため。多くの人にとっては意外な、自分らしい方法でドレスをまとう時ほど自信に満ちあふれることはない。神聖な女性らしい反逆者として、私は戦いに出る。しかし慎重に行うことを忘れてはいけない」ジャネット・モック