グレン・マーティンスが語る、ディーゼルのデニムへの挑戦。

Fashion 2021.07.21

昨年秋、ディーゼルのクリエイティブディレクターに就任したグレン・マーティンス。このほど、世界中を襲うコロナ禍でディーゼルのクリエイティブのバトンを引き継いだグレンが初めて手がける初コレクションが発表された。フィルムでのお披露目となった2022年SSのコレクションを通して、グレンが、そしてディーゼルが伝えたかったこととは?

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ディーゼルのクリエイティブディレクターに就任したグレン・マーティンス。Ⓒoliver Hadlee Pearch

――今回がディーゼルのクリエイティブディレクターに就任して初めてのランウェイショーとなりました。緊張はありましたか?

とてもエキサイトしました。

――2022年春夏コレクションのシーズンコンセプトは?

ディーゼルとは“楽しさ”と“人生を楽しむこと”についてのすべてです。アクティブなブランドであり、実験的で予想外の方法でエキサイトメントをもたらすことを目的としています。コレクションの中には、ブランドの基本的な価値観を示す要素が混在しており、楽しさ、過激、成功、アクティブウエアという要素を伴ったヘリテージが盛り込まれています。気軽に着てもらえるように多彩なコレクションを用意しました。私のクリエイションはとても実験的であることで知られていますが、ディーゼルでの実験はウエアや素材だけでなく、ウォッシュ、加工、素材の組み合わせ、カラー、グラフィックにまで及びます。

――ショートフィルムの反響はいかがでしたか?

ショートフィルムについてのフィードバックは、想像していたよりもとてもいいものでした。これほどポジティブな反応をもらえるとは思ってもいなかったです。

――今回、このショートフィルムを通して伝えたかったことは?

ある意味でアートへのアクセスと融合を楽しみました。これは始まりに過ぎず、新しい現実に足を踏み入れようとしている、まだ逆の世界を反映した内容です。フィルムでは現実と夢の境界線が曖昧に描かれ、4つの異なるフェーズにおける主人公の変遷と進化を追っています。深夜のシーンを思わせる家の中から始まり、そこから都会のストリートのショット、そしてエレベーターでの移動。最後は、深紅のフィルターがかかったトリッピーで異質な部屋で締めくくられます。

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左上から時計回りに、Look 01,31,75,55

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――ショートフィルムという方法を選んだ理由は?

ショートフィルムという手法を使うことによって、自分自身、そして自分のビジョンを表現するためのすべての自由を手に入れました。私たちはリモートにより通常とは異なる撮影を経験しましたが、コロナ禍でのプロトコルを常に尊重しながら通常の撮影を行うこともできました。いま、状況はよくなってきているように思えますが、まだすべてが終息していない状況ですし、完全に以前のような状態にはまだ戻っていません。通常のファッションウィークができる近い将来が待ち遠しいです。

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コレクションフィルムのバックステージより。

――いまのポジションに就任される前、ディーゼルにはどんなイメージをお持ちでしたか?

16歳の時、初めて意識して買った服がディーゼルのものでした。ディーゼルのジーンズが欲しくて仕方なかったことを覚えていますが、ほかのブランドにはそういう気持ちは感じなかった。これは、「自分にはディーゼルが必要だ」と感じていたすべての世代の人たちと同じ気持ちだと思います。このブランドの最も驚くべき側面は、一人ひとりに語りかけていきたいという、非常にユニークなメッセージだと思います。

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Ⓒoliver Hadlee Pearch

 

――就任後、いちばん最初に行った作業は何でしたか?

ディーゼルは40年もの間、優れた業績を記録し続けている巨大な企業であり、いまもなお成長し、ますます強くなっています。振り返る時間を持つことは、誰にとっても人生のどこかのポイントでとても重要なことです。超高速で走る列車に乗ってしまったような気分です。だから、過去のディーゼルのビジネスを理解する時間が必要でした。もちろん、現在と未来に向けてどのようにブランド価値を定義しているのかを理解する作業もですが。

――巨大なグローバルブランドであるディーゼルにプラスしたい“あなたらしさ”とは?

世界で最も偉大なデニムの知識を持っていることを忘れずに、常に社会的・環境的に持続可能なブランドであることにフォーカスしたいです。

――ディーゼルのアイコンである、デニムの可能性について、どのようにお考えですか?

デニムは最も民主的なファブリックであり、使い勝手がよく、誰とでも話ができる万能な素材です。私たちは、デニムが可能な限りクリーンであることを確認していきたいと考えています。透明性が私たちのサステナビリティジャーニーの一部だから。「DIESEL LIBRARY」と呼ばれるサステイナブルなデニムウエアのコレクションは、就任してから最初に私が手がけた大きなプロジェクトのひとつです。

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――現在、ディーゼルとYプロジェクトのクリエイションに携わっていらっしゃいます。どのような取り組み方を?

ふたつのブランドのクリエイティブフォーカスはとても異なっています。ディーゼルでは、素材や色、グラフィックの実験を行いながらも、簡単にコレクションを着こなせるように、できるだけシンプルなシェイプを維持するようにしています。一方、Y/Projectでは、よりシンプルな素材を使いながらも、非常に実験的な方法でウエアを構築しています。

――プライベートはどのように過ごされていますか?

友人と過ごします! そして、月に1週間はハイキングやキャンプをするようにしています。

――また旅ができるようになったら、行ってみたい場所はありますか?

たくさんありますが、次の冬にはパタゴニアに行ってみたいと思っています。いまのところ、イタリアを楽しむつもりで、近々シチリアにも行く予定です。

 

ディーゼルSSコレクション全ルックへ

 

GLENN MARTENS/グレン・マーティンス
1983年、ベルギー・ブルージュ生まれ。建築を学んだ後、名門、アントワープ王立芸術アカデミーを卒業。その後、ジャン=ポール・ゴルチエでデザイナーとしてのキャリアをスタート。2013年より、パリのブランドY/Projectのクリエイティブディレクターに就任する。20年10月にはディーゼルのクリエイティブ ディレクターに抜擢され、ブランドのクリエイティブを統括している。

photography: Diesel, text: Tomoko Kawakami

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