レッドカーペットにもノージェンダーの波が到来!
Fashion 2021.09.15
ニューヨークで開催されたMTVビデオ・ミュージック・アワードのレッドカーペットでは、男性はほぼ全員がハイブリッドな装いで登場した。堅苦しいスモーキングを脱ぎ捨て、 “フェミニン”を解釈したルックに注目!
ライラックカラーのトレーン付きスーツでレッドカーペットに登場したリル・ナズ・X。(ニューヨーク、2021年9月12日) photo : Abaca
スリップドレス、トレーン付きのスーツ、ライラックカラー、クロップトップ、ヒール……女性的なイメージが強いこれらのアイテムを男性が着るのは、やはりまだ珍しいことなのだろうか? いや、そうでもなさそうだ。数シーズン前からモードの世界には、「ノージェンダーの時代」が到来している。
盛り上がりはストリートではまだあまり感じられない。しかし、ミレニアル世代(15~25歳)が集うSNS上では、その兆しが高まっている。また9月12日にブルックリンで開催されたMTVビデオ・ミュージック・アワード(VMA)2021をはじめ、大きなイベントではこのトレンドを実際に感じることができる。毎年衣装に注目が集まるニューヨークのレッドカーペットだが、今年はテーラードスーツが一掃された。今回、男性パフォーマーたちが選んだ衣装の大半は、ジェンダー・アイデンティティの問題と、それが衣服によってどのように表現されるかに焦点を当てたものとなった。
男性、女性という二面性から解放されたワードローブは、いわゆる“フェミニン”なコードを取り入れたもの。一方、ほとんどの女性アーティストはドレスを着て登場した。
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ステレオタイプを打ち破る
ビリー・ポーターは今回も、シルバーのパンツスーツにヒールの高いプラットフォームシューズを合わせてジェンダーの問題に挑んだ。ラッパーのリル・ナズ・Xはトレーンが付いたアトリエ・ヴェルサーチェのライラックカラーのパンツスーツでステレオタイプを打ち破り、カナダ人ミュージシャンのショーン・メンデスは白のディナージャケットに、ピッタリとしたカットソーと流れるようなボトムスという自由な着こなしを見せた。
服装に平等性を求めることは挑戦的ではあるが、新しい動きではない。20世紀に入ってからは、「男性的な装いの女性」がよく見られるようになった。歴史を振り返ると、1920年代のギャルソンヌのヘアスタイル、1966年のイヴ・サンローランのスモーキング、1960年代のパンツとフラットシューズの女性化がそれを示している。
一方、同じ時期の「女性的な装いの男性」は、もっと逸話的な存在だった。1980年代、ジャンポール・ゴルチエはスカートを男性のアイテムにしようとしたが、あまりうまくいかなかった。ズボンによる男らしさの表現を筆頭に、社会的な障壁はいまだに数多く残っている。
しかしそれから約40年がたったいま、変化が起こっている。特に新しい世代は、フェミニンな服装でも男性らしくいられることを証明している。その逆も然りだ。
text: Sabrina Pons (madame.lefigaro.fr)