蒼井優の、だからファッションは愉しい!

Fashion 2021.12.26

17歳の時に、装う楽しさに目覚めてから、ボリュームスタイルやヴィンテージ、ハイブランド……、さまざまなファッションに出合った。蒼井優のファッション遍歴を知る10年来の友人、山本マナがスタイリング。

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ニット¥128,700/プルーン ゴールドシュミット(メゾン・ディセット) スカート¥145,200、グローブ¥31,900、シューズ¥112,200/以上ドリス ヴァン ノッテン タイツ/スタイリスト私物

ファッションの愉しみに目覚めたのは、17歳の頃。それまでは、動きやすければなんでもいいと思っていたのですが、ある時、衣装でヒールを履く機会があって、視界が5センチくらい上がるだけで、こんなに気持ちが変わるんだ、と感動しました。「可愛くなりたい!」と思って、家にある服をほとんど捨てて、貯金を握りしめて伊勢丹に行き、自分で服を買いました。

ファッションに興味が湧き始めた時、ミュージカルの『アニー』に出てくるようなスタイルが好きだということに気付いて、ワンピースにブーツをコーディネートしたり、ニットの中にブラウスを合わせたり……。当時よく着ていたのはスズキタカユキで、そのスタイルが“森ガール”と言われるきっかけになったかもしれません。(蒼井優)

「初めて優ちゃんに会ったのは、優ちゃんがまだ22歳くらいの頃。いろいろな洋服を一緒に見たり、買い物に行ったり。会えばファッションの話ばかりしていました。“あの時、楽しかったね”、そんな思い出を今回のスタイリングに込めました。このグレーのニットは、昔、優ちゃんが着ていたような雰囲気があるんです。シンプルに着るのではなく、グレーと色を掛け合わせたいと思い、赤を選びました。カジュアルだけど、どこか品のある色の組み合わせだと思います」(山本マナ)

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ジャケット¥792,000/トム フォード(トム フォード ジャパン) 中に着たブラウス¥96,800/プルーン ゴールドシュミット(メゾン・ディセット) パジャマセットアップ¥256,300(予定価格)/ミュウミュウ(ミュウミュウ クライアントサービス) シューズ¥116,600/トッズ(トッズ・ジャパン)

その後、さまざまなブランドに触れるようになりました。一度好きになると、突き詰めたい性格なので、マニッシュアローラを好きになった時は、インドの工場に見学に行ったこともあります。その後、ロシアのブランド、ウリアナセルギエンコが好きになって。第37回日本アカデミー賞の授賞式に私物のウリアナセルギエンコのドレスで出席しました。ボリューム感にこだわっていた時代は、アライアのミニ丈のニットドレスにワークブーツを合わせたり、とにかくボリュームの出し方を楽しんでいました。

20代の頃、マナさんと一緒にパリへお買い物に行ったんです。マナさんとは好きなものが似ていて、古着屋の一点ものの傘をお互い気に入って、どっちが買うかでジャンケンをしたらマナさんが勝っちゃった(笑)。ミュウミュウの赤いスエードのパンプスなど、たまたま同じものを持っていることもあって、大きな倉庫を借りて、ふたりでクローゼットをシェアしようという話をしたこともあります。(蒼井優)

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ドレス¥162,800、パンツ¥97,900/ともにニナ リッチ(イザ) 中に着たフリルドレス¥253,000/チカ キサダ(エドストローム オフィス) シューズ¥79,200/3.1 フィリップ リム(3.1 フィリップリム ジャパン)

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「優ちゃんが昔、フェルメリストビームスで買ったボリュームのある黒いケープが印象深くて、このアウターを中心にスタイリングしました。グレンチェックのセットアップは、そのままシンプルに着てもいいんですが、もうひとつ何かプラスしたいと思い、アシメトリーな白いドレスを中に重ねました。難しいバランスですが、優ちゃんなら着こなせると思いました。優ちゃんはいつも洋服からインスピレーションを感じて、カメラの前でそれを表現してくれるんです。服を楽しんでいるから自然に笑顔が出る。昔からずっと変わりません」(山本マナ)

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いろいろなスタイルを経験してきた私のクローゼットの中は、ひとりの人間のセレクトとは思えないほど、さまざまな服が並んでいます。シェアハウスのようです(笑)。映画の現場に行く時には黒しか着ないと決めているので黒のコーナーもあるし、リブの幅や丈が異なる白いTシャツも十枚ほどあります。

クローゼットの中に眠らせている服が数着あります。いまはまだ着るタイミングではないけれど、その服が持つ精神が素敵だなと感じると買います。シモーネロシャの黄色の刺繍が入ったピンク色の服も、いちばんいいと思えるタイミングが来ることを楽しみにしながら、大切に眠らせています。(蒼井優)

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ドレス¥477,400/アーデム(メゾン・ディセット) デニムスカート¥60,500/ジュンヤ ワタナベ・コム デ ギャルソン(コム デ ギャルソン) バッグ¥341,000(予定価格)/バーバリー(バーバリー・ジャパン) シューズ¥115,500(予定価格)/ミュウミュウ(ミュウミュウ クライアントサービス)

アーデムを好きな理由も、作る人の意思が感じられるから。アーデムは、カラーバリエーションを作らないことが多いんです。このシルエットと素材に対して、“この色”と決めて服を作っている。その心意気がいいな、と感じます。そういうものがクローゼットの中にあって、可愛くて見ているだけで幸せな気持ちになるので、いつもクローゼットは開け放しています。

今日の私服は、10年くらい前に手に入れたヴィンテージのデニムのロングスカートと、最近買ったボーディのクロシェ編みのニット。エッグも好きで、よくチェックしています。オンラインでシャツを買ったんですが、サイズがちょっと大きかった……。襟のデザインが可愛いから、中に着て襟を出して着こなそうと思っています。またロンドンに買い物に行ける日を、心待ちにしています。

マナさんやフェルメリストビームスのバイヤーの犬塚朋子さんの影響で、洋服で夢を見ることの楽しさを知りました。洋服を好きになって本当に良かったと思っています。私は、本来人見知りなんですけど、洋服はいまの自分はこんな人です、とプレゼンする方法のひとつ。何より、自分にわくわくできるじゃないですか!(蒼井優)

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「ロングのデニムスカート、アーデムのドレス、ファーのクラッチバッグ……、過去に私が見てきた優ちゃんのワードローブの記憶を辿りながらバッグを主役にスタイリングしました。ピンクは大人になればなるほど遠ざかってしまう色。優ちゃん自身が全身ピンクを着ることはないんですが、私の妄想を膨らませて、夢を足しました。一点一点はリアルに着られるものですが、どこかファンタジーがあったほうがファッションは楽しいと思っています」(山本マナ)

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ドレス¥260,150/セシリー バンセン(ドーバー ストリート マーケット ギンザ) 中に着た柄トップ¥64,900/パコ ラバンヌ(エドストローム オフィス) ニット¥71,500/トリコ・コム デ ギャルソン(コム デ ギャルソン) パンプス¥94,600/ロジェ ヴィヴィエ(ロジェ・ヴィヴィエ・ジャパン) タイツ/スタイリスト私物

YU AOI
映画『彼女がその名を知らない鳥たち』(2017年)で第41回日本アカデミー賞最優秀主演女優賞を受賞。舞台『アンチゴーヌ』で第53回紀伊國屋演劇賞、第26 回読売演劇大賞 最優秀女優賞、芸術選奨文部科学大臣新人賞を受賞。アイドルグループ、アンジュルムのファンとしても知られ、11月15日発売予定の笠原桃奈の卒業写真集『Dear sister』の編集長も務めている。

MANA YAMAMOTO
北海道生まれ。雑誌や広告、ブランドのカタログを中心に活躍中。オンラインギャラリー「SNÖ」をオープン。
●問い合わせ先:
メゾン・ディセット tel:03-3470-2100
ドリス ヴァン ノッテン tel:03-6820-8104
トム フォード ジャパン tel:03-5466-1123
ミュウミュウ クライアントサービス 0120-45-1993(フリーダイヤル)
トッズ・ジャパン 0120-102-578(フリーダイヤル)
イザ 0120-135-015(フリーダイヤル)
エドストローム オフィス tel:03-6427-5901
3.1 フィリップリム ジャパン tel:03-6433-5011
コム デ ギャルソン tel:03-3486-7611
バーバリー・ジャパン tel:0066-33-812819
ドーバー ストリート マーケット ギンザ tel:03-6228-5080
ロジェ・ヴィヴィエ・ジャパン 0120-957-940(フリーダイヤル)

*「フィガロジャポン」2021年12月号より抜粋

photography: Mitsuo Okamoto styling: Mana Yamamoto hair: Asashi (ota office) makeup: Tomohiro Muramatsu (Sekikawa Office) interview & text: Maki Shibata

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