ライター栗山愛以によるパリコレ日記第2弾! 2022/23年AWシーズンも、引き続き東京から遠隔でコレクション取材を続ける栗山が、マニアックな視点で気になる最新トレンドを綴る。
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2022/23 AW PARIS COLLECTION
DAY 1
Dior
#1
#2
#10
イタリア人アーティスト、マリエラ・ベティネスキが手がけた作品が並ぶ空間で行われたショーは、ファーストルックから驚かされた。
ボディスーツに蛍光のラインが波打っていて、かなりフューチャリスティック。イタリアのスタートアップ企業「D-Air lab」の最先端技術を採用し、温度を均一に保つ機能があるという。アイコニックな「バー」ジャケットにも、体の表面の湿度を管理し、必要な時には温めるというシステムが落とし込まれている。
伝統的な手仕事と科学技術。何となく相入れないような気がしていたが、そんな自分がコンサバであることに気付いた。双方が見事に融合していて、アーティスティック ディレクター、マリア・グラツィア・キウリさんの柔軟な発想に感服。
機能性が追求された小物やバイカーの雰囲気が漂うアイテムも気になった。
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Saint Laurent
#19
#43
#52
ショーを見ていて、先シーズンのパロマ・ピカソに引き続き、誰かイメージしている人物がいるに違いないと想像していたが、それは、ナンシー・キュナードだった。彼女は裕福な家庭に生まれ、1920年代は流行の服を着飾るフラッパー的存在だったよう。のちに活動家として名を馳せるようになるナンシーの、時代に先駆けた独創的な装いが反映されている。両腕のブレスレット重ね付けにインパクトがあったがそれも彼女のスタイル。スモーキーアイのメイクも彼女から着想を得たに違いない。ムッシュ イヴ・サンローランが魅了されていたアール・デコの思想も根底にあるようだが、ダイナミックな肩のラインや流れるようなシルエットのスカートなどでメリハリのあるフォルムを描き、現代的に見せているのが素晴らしかった。
ルックの大半は黒で、レザーのアウターも印象的。華やかで開放感のあった先シーズンに比べて今季は何となくダークなムードが強いような気がしている。
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Dries Van Noten
#1
#5
#25
パリにある廃墟となった邸宅で3日間限定の展覧会が行われたようで、ムービーではその準備やルック写真撮影の様子を見ることができる。映画『ドリス・ヴァン・ノッテン ファブリックと花を愛する男』(2017)のワンシーンを彷彿とさせる仕上がりだ。
色柄を大胆に組み合わせ、全体に耽美なムードが漂っている。それに一役買っているのがイタリアの歌手、ミーナ・マッツィーニをイメージしたというブリーチしたアイブロウ+ばさばさのまつ毛+濃いリップというメイク。一時期眉の色をマスカラで変えるのにはまって薄いベージュも持っているのだが、またやろうかしら。新たにローンチされたメイクアップラインの発売も楽しみ。
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text: Itoi Kuriyama photos:imaxtree