ライター栗山愛以によるパリコレ日記第2弾! 2022/23年AWシーズンも、引き続き東京から遠隔でコレクション取材を続ける栗山が、マニアックな視点で気になる最新トレンドを綴る。
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2022/23 AW PARIS COLLECTION
DAY 3
Hermès
#1
#6
#27
エルメスには珍しいミニボトムやフリル使いに驚かされたが、1960年代のジェーン・バーキンやバレエダンサーなどが着想源になったよう。腿くらいまであるレッグウォーマー的アイテムも登場した。もちろんいつものように乗馬の世界に由来するディテールもちりばめられている。
そして、今季ポイントとなったのが「Trésor de Médor」という鈴付きの犬の首輪が描かれた柄。プリントとして用いられているほか、本物の鈴が服のあちこちに施されている。そんな細かいことがわかったのは東京でもサンプルを実際に手にすることができたから。ショー会場では鈴がチリンチリン鳴る音が聞こえたのかしら……コロナ禍で、リアルで体験できるありがたみを思い知らされる日々。
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Balenciaga
#1
#27
#69
ショーは、デムナのウクライナ危機に対するメッセージで幕を開けた。ジョージア出身のデムナにとっては難民となってしまったつらい過去を思い起こさせる出来事。気持ちを奮い立たせてショー開催に踏み切った、という思いを綴り、ウクライナの国旗の色のTシャツと共に観客に配布。ショーの最後を黄色と青のルックで締めくくった。スノードームのようにカプセル化された会場内の吹雪も、本来は作られた自然であることがポイントだったようだが、必死にウォーキングするモデルたちを見ていると悪に果敢に立ち向かう姿を表現しているようにも思えてくる。
ゴミ袋をモチーフとしたバッグ、ブーツから作られたバッグ、ガムテープモチーフのベルトやボディスーツなど、いつものようにユーモアあふれるアイデア満載で、キノコの菌糸体をベースにしたレザーのコートも登場した。が、従来通りそれらの新作だけに意識を集中させることが難しい事態であるのが残念でならない。早く心おきなくファッションを楽しめる日が来るのを願うばかりだ。
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Valentino
#5
#21
#81
ピンクの会場に、ピンク一色のルックが次々に出てくる。そろそろ次のシリーズかな、と思っても、やっぱりピンク。これまで無彩色に絞ったコレクションならありそうだが、こんな個性的な色をひとつだけ用いるとは。それなのに、フォルムや素材がいろいろ変わって全然見飽きないのだ。全ルック貫き通すのか、と観念した頃にブラックが箸休め的に挟まれたものの、最後もやっぱりピンク。フィナーレでルックが勢揃いすると、画面越しでも色や美しいシルエットから愛や優しさが感じられるような気がしてしまった。こうしたポジティブなパワーが世界にあふれるといいのにな……
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text: Itoi Kuriyama photos:imaxtree(Hermès,Valentino) Courtesy of Balenciaga(Balenciaga)