二階堂ふみ×eri×鎌田安里紗が語る、私が服を買う理由。

Fashion 2023.07.05

サステナビリティを通して、ファッションも自分自身も豊かに。

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左:Arisa Kamada 一般社団法人unisteps共同代表。衣服の生産から廃棄の過程で、自然環境や社会への影響に目を向けることを促す企画を幅広く展開。
中:Fumi Nikaido 女優。2022年には、木の実由来のサステイナブル素材を使用するファッションブランドのカポック ノットとコラボレーションした。
右:eri 古着屋デプトの代表を務める傍ら、モデルの小野りりあんと気候変動を訴えるプロジェクトを立ち上げ、アクティビストとして活動中。

――SDGsに関わるどんな活動をともにされているのですか?

eri ふみとは約10年の付き合いですが、初めて一緒に活動したのは2012年4月に年立ち上げたプロジェクト、ピースフル・クライメイト・ストライキ。気候変動に関する番組を作ってYou Tubeで配信したり、彼女の連載に呼んでもらってお話ししたり。

二階堂 鎌田さんとは今回初めてお会いしました。

鎌田 私とeriさんは、オネストクローゼットというプロジェクトを立ち上げて、服がどう作られているのか、買う時にはどんなポイントをチェックすればいいかといった視点を生活者に向けて発信しています。

―― “サステイナブルなファッション”を意識したきっかけは?

鎌田 10代の頃から販売員やモデルの仕事をしていたのですが、ファストファッションの台頭とともに低価格化が急激に進んで、ものづくりも消費の在り方も変わり、服に愛着が持てなくなってしまい……。そんな時に服の生産現場に足を運ぶ機会があって、環境や生産者に大きな負担をかけている事実に直面するとともに、服作りのプロセスのおもしろさを知ることもできました。それをいろんな人に伝えたいと思い活動を始めたのが12年前です。

eri ありちゃんは先駆者!! 私は、自分でブランドを始めた当初は古着を使った一点物を作ることをコンセプトにしていたのに、ブランドが成長していくにつれて生地や服をオリジナルで作るようになり、生産上のロット数やシーズンといった商業的なレールに乗って、いつの間にかキャパシティ以上の服を作っている自分がいました。働き方も、誰かが決めたルールに基づいて必要以上にデザインすることもおかしいと感じたのが最初ですね。

二階堂 小さい頃から古着が好きで、スカウトされた場所も古着屋だったんです。本当に欲しいものしか買わなかった服好きな祖母と母の影響を受けているのかも。あと、動物と一緒に生活するようになって、こんなにも感情豊かな動物がファッションの犠牲になっているのかと考えると……。それを機にアニマルライツについて考えるようになりました。

生活者としても生産者としても、日々トライ&エラーを繰り返しています。
eri

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プラスティシティのバッグは、捨てられたビニール傘を再利用して作られたもの。(eri)

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自身が手がけるデプトでは、好きなブランケットを選んでパンツに仕立てるサービスを展開中。次回はフーディをリリース予定。(eri)

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―― 日々買い物をする上で気を付けていることはありますか?

eri 優先順位をつけることかな。コットンよりオーガニックコットン、輸送エネルギーを減らすために海外より国内。生活者としても生産者としても、最近は蚕を茹でて殺してしまうシルクで悩んでいて。でも、100パーセント天然繊維で同じ風合いを求めるのは難しい……。自分の中でトライ&エラーを繰り返していますね。

鎌田 とにかく本当に欲しいものだけを手に入れる。これって意外と難しくて、自分の買い物はもちろん、私たちは仕事柄ギフトやノベルティをいただく機会があるのですが、失礼に当たらないよう断ることも筋トレのように続けないといけない。

eri わかる! 私も衝動買いはやめました。ネットショッピングもたまに利用しちゃうんですけど、1週間くらいカートに入れたままにして考える。すると、大体のものがいらなくなる(笑)。あとは、新しい服を買う時はセールから探すようにしています。好きな服がセールに残っていることが多いと同時に、セールを全肯定はできないのですが、過去にハイブランドが売れ残った服を大量に処分していたこともあり、そんな服を少しでも減らせたらと。

動物との生活を機に、アニマルライツについて考えるようになりました。
Fumi Nikaido

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ファッションに対する価値観を教えてくれた母から譲り受けたトップ。二階堂

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シャネルのバッグは、パリで購入したヴィンテージ。「自分の中でレザーに対する答えが出ていない」ことから、ジャージー素材のモデルを選んだ。二階堂

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鎌田 eriさんが通うようなショップならそのアクションは素敵ですよね。一方で、購買意欲を煽るためにセールを常態化しているお店が多い現状も異常に感じます。本当に必要ではないのに、40パーセントオフという情報があったら気持ちが傾いてしまうかもしれない。だから私はあえて値札を最後まで見ません!

二階堂 私はトレンドをチェックしないようにしていますね。自分のスタイルが決まっていれば、たくさんの服を買わなくて済むと思うんです。トレンドに合わせて着るものを変える人がまだたくさんいるから。世の中にもっとこの考え方が浸透してほしい。

鎌田 “おしゃれ=常に違う服を着ている”ではないんですよね。

eri 確固たるスタイルがあることは、私はファッションとしてもマインドとしてもおしゃれだと捉えていますし。メディア側も表面的な部分ではなく、そういう意識をみんなに共有してほしい(笑)

二階堂 紅白歌合戦の司会をさせていただいた際にステラ マッカートニーのドレスを着たんですけど、ひとつだけ「動物愛のメッセージ」として採り上げてくれた媒体があってすごく感動しました。

eri すべては自分が豊かになるための行為で、考えるのは0円。“これまでの自分の当たり前”を見つめ直してもらいたいですね。

私が心から必要なものは何か、常に自分に問いかけるようにしています。
Arisa Kamada

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「天然素材100%だと染め直せるんです」。古くなった白いブラウスを黒く染色して再生。(鎌田)

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フェアトレードのパイオニア、ピープルツリーのシャツ。「30年にわたり同じ生産者と服を作るブランドの姿勢を心から尊敬します」(鎌田)

*「フィガロジャポン」2023年6月号より抜粋

photography: Keita Goto (W) text: Kenichiro Tatewaki

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