バレンシアガ、デムナが語るファッションとは?
Fashion 2023.10.30
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リュクスに新風を吹き込み、クチュールを新しい形で提示するデムナ。彼が見る、クチュールとは、そしてファッションとは?
INTERVIEW WITH DEMNA
「見事」「驚くべき」―― 2021年7月、バレンシアガが半世紀ぶりに発表したクチュールコレクションは、最高の賛辞を浴びた。8年前にアーティスティックディレクターに就任して以来、Tシャツやスニーカー、ゲームの世界にも進出してストリートとリュクスを融合し、若い世代に絶大な人気を得るデムナ。彼が繰り出すクチュールコレクションは、クリストバルが伝えたモダンなエレガンスのエスプリを現代に再解釈し続ける。創業以来のクチュールサロンでショーを開催し、顧客を迎えてメゾンの歴史に焦点を当てながら、階下にはブティックを設けて採寸を多く必要としないピースを販売する。スタイルもサヴォワールフェールも、顧客へのアプローチにいたるまで、まさに新時代クチュールを発信するデムナが、自身のビジョンを語った。
ジャケットはデムナにとって特別なアイテム。完璧な肩のシルエットにこだわる。
©️BFRND
1981年、ジョージア生まれ。アントワープの王立アカデミーを経て、パリへ。2014年、ヴェトモンを立ち上げる。翌年バレンシアガのアーティスティックディレクターに就任。
ーあなたにとって、プレタポルテとクチュールコレクションの違いは?
プレタポルテで重点を置くのは、ファッションを通してクリエイションしたいもの。クチュールでは私自身のエレガンスと美学を確立することを考えます。クチュールにはひとつのコンセプトというものはありません。純粋なドレスメイキングの演習であり、身体と衣服の関係の探求です。
ーメゾンの遺産と自身のクリエイションのバランスは?
どこへ行くべきか知るには、どこから来たかを知らなければなりません。クリストバル・バレンシアガは、過去においてファッションの未来を創造した。私はいま、彼の遺産の一部を未来に向けて継承しようとしています。
ークチュールコレクションの最大の喜びとチャレンジは?
喜びは、11カ月という時間をかけて取り組める贅沢さ。最大の挑戦は、完璧を求めることです。
ーファッションについてのあなたの考えを教えてください。
私は何よりもまずドレスメイカーです。私の仕事は、ファッションの捉え方と目的を再定義すること。私のバレンシアガのビジョンのベースは、服だけでなく、美学全体、若者文化、物事を別の角度から見ること、美の再定義、そして、いま実際にクールであるものです。ファッションをプラットフォームとして進化させるだけでなく、ファッションを使って社会的、文化的なインパクトを与えたいと考えています。
ークチュールブティックはどんなアイデアから生まれたのですか?
クチュールを買いたくても、どうアクセスすればいいのかわからないという声に対し、入口を作ろうと思いました。ジョルジュ・サンク通り10番地の1階にブティックを作るのは完璧なアイデアだと思いました。クリストバル・バレンシアガはここでメゾンを立ち上げ、コレクションを発表した。
しかも、当時この場所はブティックだったのです。
ー今日、クリストバル・バレンシアガとデムナが会話するなら、どんなテーマになるでしょうか?
人体と、人が纏う布地の関係や、テーラードジャケットのシルエットと完璧な袖山について。そして神と宗教についてでしょうか。
ジョルジュ・サンク通り10番地。2階は、採寸や仮縫いを必要とするクチュールピースを求める顧客を迎えるクチュールサロン。年に1度のクチュールコレクションのショーもこのスペースで行われる。
採寸を必要としないピースや、アクセサリーなどがその場で購入できるクチュールブティックは、新世代クチュールへの入口だ。
10, avenue George V 75008 Paris
33-(0)1-70-70-87-10
営)11:00~19:00(火~金)
※月と土は予約制
休)日
https://couture.balenciaga.com
photography: Courtesy of Balenciaga text: Masae Takata(Paris Office)