上質なイタリアメイド、ファルコネーリに触れて。
Fashion 2023.11.15
モンゴルから届く原毛から生まれる、色彩も美しいファルコネーリのカシミヤ。ミラノで行われたイベントが夢のカシミヤの世界へと誘う。
ショー開始前のランウェイは白一色。photography: Frankie Vaughan
モンゴルから直送される原毛をイタリアの手仕事で仕立て、確かなクオリティと飽きのこないデザインで着実にファンを増やしているカシミヤブランド、ファルコネーリ。同ブランドによる「the Voyage of our Cashmere」イベントが、去る10月11日、ミラノで開催された。2023年秋冬のキャンペーンタイトルでもある「カシミヤの旅」をテーマに、山羊の原毛が温かなファッションアイテムに姿を変えるまでを語るソワレだ。
会場は、ミラノの街外れに佇む工場跡、フォンデリア・マッキ。ガラス屋根の広大なインダストリアル建築の入口には、モンゴル高原から届く木箱入りの原毛や、紡がれたばかりの糸が展示されている。製造過程の雰囲気を伝える空間の中で、カシミヤの柔らかさと温かみを体感できる演出だ。インスタレーションだけでなく、会場の装飾もカシミヤへのオマージュを感じさせるもの。絨毯とクッションに包まれたパーティスペースは、原料となる山羊を育てるモンゴル遊牧民の住まいを思わせるデコレーション。フォトコールのセットをはじめ、天井から下がる巨大な照明、ショーの行われる舞台装置まで、すべてがカシミヤ素材で柔らかに包まれ、ゲストを別世界へと誘った。
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ソワレのメインイベントは、2023年秋冬コレクションのショー。カシミヤの房がカーテンのように下がる真っ白な舞台で、白い衣装に身を包んだダンサーたちがパフォーマンスを繰り広げる。続いて登場したのはベージュの濃淡の同系色を合わせたナチュラルなルック、ライラック色やピンクの鮮やかなコーディネート、雪の結晶模様を編み込んだノルディック風セーターなど。縄編みのストール、色のバリエーションが豊かなタートルネックや柔らかなパンツといったベーシックでタイムレスなアイテムが、軽く薄い素材を生かした重ね着のスタイリングでさまざまに提案された。
イベントにはキアラ・フェラーニをはじめとするイタリアのセレブリティ、フランスからは『エミリー、パリへ行く』でファッションアイコンとなった女優のフィリピーヌ・ルロワ=ボーリュー、日本からはモデルの立野リカとマドモアゼル・ユリアも参加。トランスペアレントなボトムやスリット入りのスカートを合わせたり、バッグやアクセサリーでドレスアップ感を加えたり、とゲストが着こなすカシミヤのパーティスタイルも、ソワレを華やかに彩った。
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カシミヤの心地よさに包まれる! モンテナポレオーネ店でお買い物。
前夜のショーで秋冬コレクションを堪能した立野リカが訪れたのは、モンテナポレオーネ店。ミラノ随一のリュクスなショッピングストリートの入口に位置し、1階と2階にウィメンズ、3階にメンズの全ラインを揃えている。「昨日ショーで見たアイテムが全部揃っているし、日本未入荷の色も!」と、さっそく、冬のコートを試着。今シーズンの注目株は、色の美しいベーシックなフォルムのウルトラファインカシミヤのセーターたち。ウルトラファインカシミヤのセーターは、後染めタイプでヴィンテージ風のカラリングやジャカード、ケーブル編みなどバリエーション豊かなのがうれしい。ダウンベスト、ブルゾンやジャケット、ファー襟付きコートなどのアウターもあるので、一年中どのシーズンにも楽しめて長く愛用できる一着が見つかるはずだ。
ファルコネーリ モンテナポレオーネ店
Falconeri Montenaporeone Shop
Via Montenapoleone Angolo, Via Manzoni, 20, 20121 Milano tel:39-(0)2-7602-3017
営)10:00~20:30 不定休
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極上のニットを生み出すクラフトマンシップ。
カシミヤの故郷は、モンゴル高原。この地に生息するヒルカス山羊の毛を梳くことから、温かなカシミヤが生まれる。なかでも、ファルコネーリのスーペリア・カシミヤになるのは、この地域の山羊から取れる最も細い軟毛、デュヴェを紡績したもの。モンゴルで採取された原毛は直接買い付けられ、仲介業者の手を経ることなくイタリアに直送されて、自社工場で糸となり、服のかたちに生まれ変わる。全工程を自社で管理することで、サプライチェーンの労働者、動物、環境への配慮、品質管理が可能になり、適正な価格が実現できるのだという。
長く愛用できるクオリティと時代を超えたデザイン性を備えたファルコネーリのカシミヤは、厳選された最高の自然素材と、イタリアのクラフトマンシップの融合から生まれる。たとえばウルトラファインカシミヤは、2本の糸を撚り合わせた耐久性に優れた糸で、シルクを思わせる手触り、通気性にも富んだウエアになる。一方、ウルトラソフトカシミヤは、柔らかな手触りで、ソフトでボリューミー、冬の寒さに負けることのない温かさを実現する。これらの糸は、北イタリアのアヴィオをはじめとする自社工場で最新技術の編み機にかけられる。編み上がったパーツの細部の仕上げは、必ず手作業で。素材の柔らかさを引き出すウォッシュ加工、サイズを安定させるアイロンがけを経て、各工程の品質管理に合格したものだけが、店頭へ運ばれていくのだ。
text: Masae Takata(Paris Office)